“おおらかなデザイン”を教えてくれた、原点の一脚
駆け出しだった頃に奮発して購入したもの。ヴィンテージ家具の輸入もされていた、ジンジャーコーディアルの店〈フラクタス〉の成田博昭さんがあるマーケットに出店された際、什器(じゅうき)として持ち込んでいたのを見かけて一目惚れ。「そんなに欲しいなら」と、薄給だった25歳の僕に5万円、かつ現金2回払いという良心的な方法で売ってくれました。
突飛な意匠ではありませんが、脚の傾斜具合や貫(ぬき)と呼ばれる横棒の構造、座面のアールなどの細部に、図面にとらわれない手仕事ならではのおおらかさを感じて。必死で図面に則ったデザインを学んできた自分には新鮮な一脚でした。以来引っ越しても、結婚してからも、自宅の一角で必ず使っています。
