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〈ザ・コンランショップ〉CEO・中原慎一郎の人生最高のお買いもの「〈Werkstätte Hagenauer Wien〉のオブジェ」

人が欲しいと思うものには、その人の価値観や人生観が表れます。何を思い切って手に入れ、何を大切にしてきたか。“お買いもの”とは究極の消費行動であると同時に、自分の人生を彩るために何が必要なのかを教えてくれるものです。〈ザ・コンランショップ〉CEO、〈ランドスケーププロダクツ〉ファウンダー・中原慎一郎さんのベストバイ・ストーリーは?

photo: Satoshi Nagare / text: Akiko Yoshikawa

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ウィーンやオブジェに興味を持つきっかけに

独立する前、インテリアショップ〈モダンエイジギャラリー〉で働いていました。近くにハナエ・モリビルがあり、地下のアールデコ専門店に、休み時間によく通っていたんです。これはそこにあったものです。

19世紀後半から20世紀初頭にかけて職人による工芸品を復興しようという「アーツ・アンド・クラフツ運動」が起こったのですが、〈Werkstätte Hagenauer Wien〉はその頃にウィーンにできた工房の一つ。店主は僕に、このオブジェの歴史的背景などを教えてくれました。この工房は真鍮や銅細工で知られるのですが、これは人物は木でできていて、槍は真鍮というちょっと珍しいもの。数年後、ハナエ・モリビルの解体が決まり、その店も閉店することに。

店主に交渉すると、「安くするよ」と言ってくれ、古着などを売って買いました。何の役にも立たないオブジェだけど、自分の原点になりました。独立後、初の買い付け先はウィーンでしたし、モダンファニチャーの中にプリミティブなものを置く面白さも知りました。〈Playmountain〉で変わったものを売るきっかけになったのもこれ。オフィスの神棚のような場所に飾っていて、僕にとっては神様的な存在なんです。

〈Werkstätte Hagenauer Wien〉のオブジェ
当初価格から約半額まで値下げしてもらい、それを3回に分けて払い、ようやく手に入れた。上京したての中原さんにとってとてつもなく高い買い物だった。

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