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シェフ・紺野 真の人生最高のお買いもの「〈釜浅商店〉で特注した包丁」

人が欲しいと思うものには、その人の価値観や人生観が表れます。何を思い切って手に入れ、何を大切にしてきたか。“お買いもの”とは究極の消費行動であると同時に、自分の人生を彩るために何が必要なのかを教えてくれるものです。〈uguisu〉〈organ〉〈Orby〉シェフ・紺野 真さんのベストバイ・ストーリーは?

photo: Satoshi Nagare / text: Hikari Torisawa

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特製の包丁が、食材を美しく、料理をクリアにしてくれる

料理人人生で長いこと洋包丁を使ってきましたが、7年ほど前に柳刃包丁を使ってみたら、その切れ味と断面の美しさにびっくりしました。切り口が美しいとは、つまり組織が無駄に壊されていないということ。

肉でも魚でも、肉汁やドリップが出てしまうのを最小限に抑えられるのはすごいなぁと感動して、たくさん持っていた洋包丁を和包丁に切り替えていきました。切り口の違いにはいくつか理由がありますが、両刃ではなく片刃であること、材質が鋼であることも大きいですね。和包丁は手前に引いて切るのが基本ですが、フレンチだと押して切る動作も多く、和包丁を使っていると切っ先が食材に引っかかってしまうことがある。

それで、洋包丁の型を鋼の片刃で作れないかと〈釜浅商店〉に相談したところ、特注で作りましょうと言ってくださって出来上がったのがこれです。刃は薄め、刃渡り、ハンドルのサイズや材質も細かく相談して、理想通りに仕上げていただきました。堺の鍛冶師・田中義一さんをはじめ、何人もの職人さんの手によって完成した一点モノにして一生モノ。ですが、あまりにも使い勝手がいいので、商品化できないかと釜浅さんと話し合っています。

〈釜浅商店〉で特注した包丁
東京・合羽橋〈釜浅商店〉と大阪・堺〈田中打刃物製作所〉は共に創業100年を超える老舗。鍛冶、研ぎ、柄作り、柄付けまで、職人の技が凝縮した一本。

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