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〈UNDERCOVER〉デザイナー・高橋 盾の人生最高のお買いもの「〈ALTEC LANSING〉のA5」

人が欲しいと思うものには、その人の価値観や人生観が表れます。何を思い切って手に入れ、何を大切にしてきたか。“お買いもの”とは究極の消費行動であると同時に、自分の人生を彩るために何が必要なのかを教えてくれるものです。〈UNDERCOVER〉デザイナー・高橋 盾さんのベストバイ・ストーリーは?

photo: Shu Yamamoto / text: Minori Okajima

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まるで生演奏しているかのような、まろやかな音色に惹かれて

A5は、もともと劇場用に作られた〈アルテック ランシング〉のスピーカーで、「ボイス・オブ・ザ・シアター」と名づけられたモデル。正面と側面にもクラシックなロゴがあしらわれています。このスピーカーの存在は以前から知っていたのですが、購入に至ったのはしばらく経ってジャズを本格的に聴くようになった2016年頃のこと。好きな音楽をきちんとした音響で、レコードで楽しみたいと思い切って迎え入れました。

今はオフィスにある私のアトリエにペアで、対になるように置いていて、スピーカー自体のデザイン、色もとても気に入っているんです。自分が描いた絵画や、制作したオブジェ、スツールと同じ空間に配置しています。ずっしりと重厚感があり、目の前にするとその迫力から「さあ、聴くぞ」という気持ちになれる。このスピーカーは、そんな気分を変えてくれる存在ですね。

初めて実物を見た時も印象的でした。お店で試聴した際に、その圧倒的な音圧と、まるで生演奏しているかのようなまろやかな音色に完全にやられてしまい、一目惚れ。すぐに購入を決め、音を楽しむための環境を整えました。ジャズに限らず、ロックや最新のテクノなど、迫力ある音を出せる優れ物です。

1945年にアルテック社から発売された業務用劇場スピーカーシステム。本シリーズは、映画芸術科学アカデミーからワールドスタンダードに承認された。

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