芸術作品を所有するということ
彫刻家・掛井五郎を知ったのは京橋のポスタルコで彫刻を見たことがきっかけだ。後に知人からの知らせで松濤の〈ギャラリーTOM〉で展示があると知って見に行った。買えるということは知らなかったが作品には値段がついていて、少し背伸びをすれば手に入れられる価格。思い切ってこの彫刻を家へ迎え入れることにした。
僕は以前より、洋服や食べ物は高価なものでも買うのに、どうして絵画や彫刻は買おうとしないのか、ということに興味があった。この彫刻と一緒に暮らしていると「作品の意味なんて考えなくていいじゃないか」と言われるような気持ちになる。手に入れた経緯も含めて、自分にとっての買い物とは何かを考えるきっかけを与えてくれた。
