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〈mitosaya薬草園蒸留所〉蒸留家・江口宏志の人生最高のお買いもの「ドイツ製の古い蒸留器」

人が欲しいと思うものには、その人の価値観や人生観が表れます。何を思い切って手に入れ、何を大切にしてきたか。“お買いもの”とは究極の消費行動であると同時に、自分の人生を彩るために何が必要なのかを教えてくれるものです。〈mitosaya薬草園蒸留所〉蒸留家・江口宏志さんのベストバイ・ストーリーは?

text: Asuka Ochi

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できないことの多さが、蒸留所の幸福な基盤に

知り合いのブルワリーがドイツから輸入し、20年くらい倉庫に眠らせていて譲り受けた1989年製の蒸留器。蒸留所を始める前に新品を購入しようと思って動いたものの、高価で注文して入手するまでにも時間がかかってしまう。そのため、前段階として入手したものですが、古くて仕組みも単純、やれることも造れる量も限られていたことが、結果的に今の〈mitosaya〉の少量・多品種生産という個性につながりました。

この蒸留器が出発点となり、自分自身の興味と関心も相まって、いろんな小規模な生産者さんとのもの作りを叶えられたのも、振り返れば嬉しいことです。機材や技術が一つあるだけで、自分の能力が広がっていくのは面白いなと思います。

〈mitosaya薬草園蒸留所〉蒸留家・江口宏志の人生最高のお買いもの「ドイツ製の古い蒸留器」
ドイツ・KOTHE社製の連続式蒸留器。容量はわずか150ℓ。商品は今もすべて、その時々で手に入る植物や果物を使って、この蒸留器一台で造られている。

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