エッセイスト・酒井順子
〈ドリームファーム〉のサラダスピナー
「あらゆる料理に大敵な水分という水分を、これで飛ばしています(笑)」。使い方は簡単だ。ザルで食材を洗った後、ハンドルをくるり90度回転させ、逆側(下側)に付いている吸盤をシンクに固定。ハンドルを垂直に押し込むとザルが回転し、その遠心力で水を切る。「水を受ける容器がない分、コンパクトなところが気に入っています。野菜を洗う、水を切るという一連の動作がスムーズこの上ない。シンクの外には水が飛ばないのも不思議なんですよね」
クリエイティブディレクター・佐藤可士和
〈PP モブラー〉のPP225
ステンレススチールとロープで形作られるPP225(通称フラッグハリヤードチェア)はハンス・J・ウェグナーによる名作椅子。「昔から欲しい家具のリストがあってこれもその一つ。ずっと機会を逸していたので、2023年に思い切って購入しました。ウェグナーに限らず、ポール・ケアホルムやアルネ・ヤコブセンらの北欧デザインが好きなんです」。スチールやロープなどの色は数種類からセレクトできる。
〈TAKT PROJECT〉代表・吉泉 聡
笹野一刀彫の削り花
21_21 DESIGN SIGHTで開催された『Material, or 』のディレクターを務めるなど、2023年に最も注目を集めたデザイナーの一人、吉泉さんが選んだのは、同企画展にも展示した、出身地・山形に伝わる木彫りの造花。コシアブラの木を専用の刃物で薄く削り出しカールさせることで、無数の花びらを形作った工芸的縁起物。雪深い正月に仏壇に飾る生花に見立てた、「木という素材に向き合った佇まい」。
〈ハイカーズデポ〉店主・土屋智哉
〈ペンタペタラ〉のパピリオ
兵庫を拠点にしているトレイルランニングシューズのガレージメーカー。受注生産で、2人の職人の手によってすべて手作りされている。2023年に土屋さんが歩いた東海自然歩道近畿セクション420kmのハイキングの際に足元を支えたのがこのシューズ。「バックパックとかウェアのガレージメーカーはあったけど、僕の知る限りシューズは日本のアウトドア業界初。ついにここまで来たか!という感慨深い一品です」。
イラストレーター・永井 博
The Copeland Davis Group『Smouldering Secrets』
現在もフロリダで活動するジャズピアニストが、自身のグループと唯一残した1975年に発表の幻のアルバム。「ファンキーなソウルジャズ。コーラスも美しいボーカル曲の『ジェット』など、聴きどころが多い。これはアメリカ盤とはジャケットデザインが異なるイタリア盤。すごくレアで、知人のお店で大枚をはたきました」。日本では2016年に「春の朝/ジェット」(プロダクション・デシネ)がシングルカット。