自己資金で運営する巨大な温浴施設
ドイツのベルリン郊外に位置する〈ヴァバリ スパ ベルリン〉は、本誌サウナ特集(Book in Book「欧州サ旅」P58〜59)でも紹介済みだが、ドイツでサウナ巡りをするのであれば「絶対行くべき施設!」と、ドイツに詳しい人から必ず助言される施設だけに、こちらでより詳しく紹介したい。
そもそもドイツのサウナ人気は他の国とは結構異なり本格的。一日中サウナを楽しむガチ勢も多い。世界中で人気の、熱波を風で送るアウフグースもドイツ発祥。そして全裸で男女が同じサウナ室に入るというスタイルも世界的に見てもドイツだけのサウナ文化です。国内のサウナ施設の数が2,300以上と言われると、その文化成熟度から見ると少ない気がする(日本は「サウナイキタイ」の登録件数だけ見ても1万超)。ただ、海外の大きなサウナ施設はプールがあったり、サウナが何室もあったりと、日本の温浴施設とは規模感が違います。そしてドイツは特にその傾向が顕著なのです。一つの施設の規模が他の国と比べて圧倒的に大きい!
そこで、今回紹介する巨大サウナ施設、〈ヴァバリ スパ ベルリン〉を運営している「トイネ・スパ・マネジメント」について会社のサイトで情報を調べると、本社はケルン。従業員総数は約700人で、2022年のトイネ・スパ・マネジメントの年間売上高はなんと6000万ユーロ(約85億円)!ウェルネスに関する事業にいち早く目をつけ、手掛ける施設をことごとく成功させたという。各自治体の補助金や参加なしに建設され、すべて自己資金で運営しているというから驚きだ。
今回、〈ヴァバリ スパ〉についてトイネ・スパ・マネジメント社にメールインタビューを敢行。広報のサラ・ラストが詳しく答えてくれた。
〈ヴァバリ スパ〉の全貌を知るためのQ&A
1. 〈ヴァバリ スパ〉のオーナーは誰で、いつ、何のためにこの施設をつくったのでしょうか?
トイネ・スパ・マネジメント社
施設はドイツ国内3カ所にあります。運営しているトイネ・スパ・マネジメント社は、マルクス・トイネとステファン・トイネの2人の兄弟によって創設されました。
2人とも温泉やスパ、ウェルネス施設の開発・運営で30年以上の経験を有しており、〈ヴァバリ スパ ベルリン〉(2014年〜)と〈ヴァバリ スパ デュッセルドルフ〉(2017年〜)は、すでにドイツで最も人気のあるウェルネス施設の一つとなっています。
2022年の夏にオープンしたばかりの〈ヴァバリ スパ ハンブルク〉(2022年〜)もあります。このブランドはドイツ北部でも展開され、〈ヴァバリ スパ ハンブルク〉では初めて〈ヴァバリ〉内部にホテルを持つことになりました。
トイネ・スパ・マネジメント社が開発した各施設は、当初から大きな成功を収めて運営されており、超地域的に価値のあるレジャー施設と周りからも評価されています。
2. なぜ、このインドネシアやタイの仏教やアジアの雰囲気、空間、スタイルをドイツのサウナに持ち込もうと思ったのでしょうか?
トイネ・スパ・マネジメント社
私たちのオーナーは、旅に対して大きな情熱を持っています。彼らがアジアを旅した際、インドネシア、特にバリ島でのホスピタリティとウェルネスへの理解とインスピレーションから、ドイツにもこの2つの要素に焦点を当てた場所が必要だと考えました。
3. このような規模の施設をつくろうと思ったきっかけは何ですか?
トイネ・スパ・マネジメント社
私たちは、これまでの温浴施設やウェルネス施設の運営経験から、この分野の市場はまだ飽和していないと確信しており、このようなスパ・ウェルネスの需要を感じていました。
4. サウナやアウフグースの種類が多いのがとても印象的でした。vabaliのサウナやアウフグースは、何を専門に、何に重点を置いてつくられたのでしょうか?
トイネ・スパ・マネジメント社
〈ヴァバリ スパ〉は、お客様にクラシックなサウナとウェルビーイングの体験として、幅広い選択肢を提供したいと考えています。私たちは、サウナ経験者もそうでない人も、すべてのお客様にウェルネスを提供することに重点を置いています。
50度のバイオサウナ、70〜80度のクラシックサウナ、多彩なインフュージョンプログラム、95度のガーデンサウナなどを用意しています。
例えば、メディテーションサウナでは、数百個の小さなキャンドルが揺らめき、パノラマサウナでは美しい屋外エリアを見渡すことができ、インフュージョンサウナでは精巧な彫刻の天井が訪問者を魅了します。
ハウス内には10〜13のサウナと、3〜4のスチームバス、ラコニウムがあります。森林浴、シャクナゲ、ラベンダーなど、さまざまな種類の入浴剤をご用意しています。原料はすべて100%天然素材です。
5. この施設はどれくらいの広さですか?
トイネ・スパ・マネジメント社
〈ヴァバリ スパ ベルリン〉20,000平方メートル。
〈ヴァバリ スパ デュッセルドルフ〉20,000平方メートル。
〈ヴァバリ スパ ハンブルク〉36,000平方メートルです。
6. 施設内にリラックスや休憩のためのスペースがたくさんあることにも驚きました。日本ではサウナの休憩スペースが充実していないお店も多いのです。
トイネ・スパ・マネジメント社
〈ヴァバリ スパ〉では、サウナバスの後に静寂の小さなオアシスを用意していますが、これには2つの異なる理由があります。
まず、私たちはホリスティック(Holistic)なアプローチで、すべてのお客様にご自宅のようにくつろいでいただきたいと思っていることが前提としてあります。自宅のようにくつろげる環境は、何よりも魅力的なのです。
肘掛け椅子や長椅子、暖房付きウォーターベッド、暖炉のあるラウンジなど、多くのリラクゼーションルームがあり、屋外にはたくさんのサンラウンジャーが用意されています。
一方、サウナの後の休憩時間は特に重要です。乾燥した熱気と冷却が交互にやってくることで、全身に強い刺激を与えます。新陳代謝を促し、体を浄化し、皮膚への血液循環を良くし、体の免疫機能を強化するなど、全臓器を刺激します。サウナでは、短時間で体温が1〜2度、皮膚では10度まで上昇します。
免疫システムにとって正しい答えはただ一つ、「防御力を高める」ことです。このように体にはエネルギーが必要で、快適な休息空間は回復のために絶対に必要なのです。そのために最高の休憩室をつくり上げています。