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作家・せきしろが代々木〈ウォータリングホール〉へ。比べておいしい、クラフトビール

クラフトビールが抱える情報量は膨大だ。メニュー表には原材料、製法、歴史が溢れ、ツウな言い回しが初心者を戸惑わせる。もっと直感的にビールを楽しみたい。そこで、作家で自由律俳句を作る俳人でもあるせきしろさんにビアバー〈ウォータリングホール〉で思いのままに味を表現してもらった。「記憶に結びつけると“あの味!”が浮かび上がってきますね」。ビールは自分の言葉で味わうべし!

初出:BRUTUS No.944「ビールについて語らせろ!」(2021年8月1日発売)

photo: Kazuharu Igarashi / text: Neo Iida

語る人:せきしろ(作家、俳人)

たとえて比べるビア・フライト

ライブ後も耳に残り続ける音

登別の地ビール
Pale Ale(ペールエール)/たとえば:鬼伝説地ビール

シムコーホップを使った登別(のぼりべつ)の地ビール。口当たりは爽やかな柑橘系だが、しっかり苦い。「ゴーヤの苦さに近い。子供の頃はダメでも、大人になるとその苦味が好きになる。飲んだ後も余韻が続きます」

コーヒーが苦手ではなくなった日

〈ジョージタウンブルーイング〉のナイトロスタウト
Stout(スタウト)/たとえば:ドライアイリッシュ

〈ジョージタウンブルーイング〉が造るクリーミーなナイトロスタウト。ローストした麦の香ばしさが舌に残る。「黒ビールはUKロックバンドのMVでよく見るから憧れ。コーヒーっぽい風味で飲みやすい」

映画見て泣きながら食べるポップコーン

〈モダンタイムス〉のラガー
Lager(ラガー)/たとえば:ソーグッドグッドラガー

サンディエゴの〈モダンタイムス〉が造るラガー。モザイクとネルソンの2つのホップにより、穀物の風味がガツン。「苦味はすぐ消えて、トウモロコシの味わいが……。ポップコーンを思い出しますね」

旅行先で見つけた知らないデザート

〈ウォータリングホール〉の8周年を記念して造ったオリジナル地ビール
Fruit Belgian White(フルーツベルジャンホワイト)/たとえば:白鬼リゾート虎杖浜ビーチホテル別邸

〈ウォータリングホール〉の8周年を記念して造ったオリジナル地ビール。パッションフルーツのような酸味が魅力。「酸っぱいけどおいしい。ハマナスの実のような、原始的で野性味溢れるフルーツの味」

一気食いした遠足のおやつ

〈ストラスコナ×ストラスブルワリー〉のサワーエール
Sour Ale(サワーエール)/たとえば:ラズバズユズサワー

〈ストラスコナ × ストラスブルワリー〉による、ユズ果汁を大量に使ったサワーエール。乳酸菌とオーツをミックスした独特な口当たり。「酸っぱさのパンチがすごい。ウエハースの風味が潜んでいるよう」

フェスの夕方

〈うちゅうブルーイング〉が秘伝のレシピで仕込むIPA
Hazy IPA(ヘイジーアイピーエー)/たとえば:宇宙SENSEI

山梨の〈うちゅうブルーイング〉が秘伝のレシピで仕込むIPA。オーツ麦を大量に使用。苦味がありつつもジューシー。「苦さは一瞬でなくなるから飲みやすい。フェスで日が暮れた頃に飲みたい爽やかさ」

グレープフルーツの白いところ

インコグニートという濃縮液状ホップを使ったIPA
IPA(アイピーエー)/たとえば:ねこいっぴき

店長の林ゆうやさんが三重県の伊勢角屋麦酒と一緒に造っているIPA。インコグニートという濃縮液状ホップを使ったヤンチャな味。「柑橘のほろ苦さですね。皮というより白いあの部分の苦味です」

フェス2日目

〈ブリュースキー〉のビール
Berliner Weisse(ベルリナーヴァイセ)/たとえば:チェリーパイ

1,500Lのサワービールに1,500kgのチェリーを使用した〈ブリュースキー〉のビール。シナモン、バニラ、トンガビーンズでデザートみたいな味に。「疲れた体に効きそう。ドクターペッパーみたいな感じ」
作家・せきしろ