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実店舗を持たないバーで偶然の出会いを。〈Bar Straw〉赤坂真知のノンアルカクテル

都内を中心にさまざまな場所に“出現”する〈Bar Straw〉。ここに立つバーテンダーが、一途にノンアルカクテルを作り続ける理由。

photo: Yu Inohara / text: Ku Ishikawa

“予想外”に出会う時、カクテルはもっと楽しい

アメリカを中心としたソバーの流れは、コロナ禍の中でより身近なものになったが、それ以前の2019年からノンアルカクテル作りに打ち込んでいたのが、〈Bar Straw〉だ。

実店舗を構えず間借りやポップアップ形式を取るが、主宰の赤坂真知さんは、同世代のクリエイターとのコラボレート、ブランドのケータリング考案、レストランへのレシピ提供など、年々活動の場を広げている。そんな彼がカクテル作りに取り組むようになったのは、バーテンダー野村空人(そらん)さんとの出会いがきっかけだという。

「数年前、ドリンクに携わる仕事をしていた頃に空人さんにお会いして。作ってもらった一杯に強く惹かれました。材料が液体として混ざり合っているのに、一口飲むといろいろな香りや味がして、見た目に反した予想外な味わいに出会うこともある。カクテルは、飲む人を楽しませる工夫のしがいがある飲み物だと思いました。この魅力を伝えたいと思った時に、じゃあ僕は、未開拓かつアルコールとは違ったアプローチができるノンアルで可能性を探ろう、と」

が、聞けばその道は困難だ。酒に比べて素材の保存が利かず、リキュールに代わるシロップの種類は僅少。甘味のバランスが取りづらく、飲んだ時の“重さ”を出すためレシピは複雑化。時間も手間もコストもかかる。それでも作り続ける理由は?

「ドリンクはアルコールの有無にかかわらず、まだまだ可能性がある。僕が感じたように、人を楽しませたり、生活を豊かにする力があると思うから。この“研究”が、少しでも“カクテルって面白い!”と誰かが思うきっかけになれば嬉しいです」

〈Bar Straw〉店主・赤坂
不定期に花屋でもバーを開く赤坂さん。

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