自分たちが知らない街でガイドブックにも載っていないような新しい情報をゲットするためにはローカルの力が必要だ。特集「いま、バンコクに行きたい理由。」でも、現地のコーディネーターはもちろん、そこに暮らすタイの友人たちの知恵を借りた。私たちの“参謀”とも呼べるひとりにサンドがいる。本誌の29ページでも紹介した、スクンビットのソイ49にある〈co-incidence.process.coffee〉というカフェの店主でありバリスタ。
どこかタイのお坊さんを思わせるようなルックスと物静かなキャラクターを持つ彼に、私たちは色々な場所や人を紹介してもらった。バンコクで過ごす一日の始まりには、サンドの店に足を運び、彼が淹れる「Dirty」というコーヒーを片手におすすめの店を聞く。そして夕飯を一緒に食べる約束をする。それが私たちのルーティーンのひとつ。
ものすごく几帳面なサンド。隅々まで磨き上げれられた店内は快適だし、丁寧にコーヒーを淹れる彼のスタイルは見ていて気持ちがいい。そして、その一杯は一日をスタートするには最高の味。
実は、サンドにはカフェ店主/バリスタという肩書きの他にも、イラストレーションを描いたり、立体造形物をつくる、アーティストとしての顔もある。〈PAVEMENT〉というブランドのバッグも作っていたり。きれいに整頓された店にクリエイティブな雰囲気を感じるのは、彼の感性によるものなのかも知れない。
ある日、サンドと話していると語ってくれたことがある。「タイにはたくさんのソイ(路地)があって、その先には新しい発見が隠れているんだよ」“参謀”が語るその言葉は、まったくその通り。「Dirty」の最後のひと口を飲み干したら、まだ見ぬソイに出発だ。