自分が“素”でいられる居場所から整える
「ダンスでもお芝居でも、パフォーマンス前に行うストレッチを大事にしています。この現場に入る前にも、自宅で済ませてきました。大胆に体全体を動かす時も、そっと手元だけがクロースアップされる時も、“その人らしさ”が出ると思うんです。さあ本番と言われて、すぐに気持ちを切り替えたとしても、当然、体は急には動かない。だから、どの現場においても、きちんと体のスイッチを入れておかないとダメなんです」
身体的な準備以外にも、心を整える日常のルーティンがある。
「一日のスイッチとして、どんなに忙しくても、毎朝お弁当を作るようにしています。夫用ではあるんですが、これが自分のためになっているんです。視覚、味覚、嗅覚など五感すべてを使うお弁当作りは、目覚めてすぐに自分の感覚を呼び起こすうえでも欠かせないこと。どこにどのおかずを入れるか、お弁当のフォーメーションやおかずのバランスを考えて中身を整理することは、頭を整理することにも繋がっています。仮に頭の中が散らかった状態だと、散らかった盛り付けになってしまうんです。まるで自分の写し鏡みたいに。だから、盛り付けている最中は、瞑想するように頭をすっきりと落ち着ける時間にしています」
日々のお弁当作りは、ダンスの構成にも生きているという。
「まるで違うものではありますが、ダンスと、お弁当と向き合う時の思考はよく似ています。料理に副菜や主食、〆のデザートがあるように、パフォーマンスも導入からメインへと繋がる流れがあって、ちょっと遊びを入れたりしながら〆に向かっていく。どちらも自己表現という点で、考えていることは同じなんです。だから、いくら多忙でも日常を崩さずに保つことが大事。自分の居場所をきちんと整えることが、表現のリズムを保つことにも繋がっています」
緊張する感覚を鈍らせず、それすらも味方に変える
お弁当作りの恩恵はそれだけでない。アオイさん独自の表現が生まれる大きなきっかけにもなった。
「自己表現はある意味で、自己満足であり、自分を形成するものだと思うんです。私の場合は、とにかくお弁当作りが大好きなのに、食べたらなくなってしまうことがあまりにも愛おしくて……。その行き場のない気持ちを発散するために、作ったお弁当を写真に収めて、それを前面に大きくプリントした衣装を作りました。その衣装を着て、街に出かけたり、プールで泳いだり、踊ったりする姿を、昨年末頃からSNSで発信しているんですが、これが意外と好評でした。
海外の人からは、“This is BENTO”って温かく受け入れられたんですけど、すべてはただ“やりたい”という気持ちを優先した結果なんです。逆に、周りから評価されたいという気持ちが先行してしまうと、自分らしさが何かを見失ってしまって、きっと長続きしないと思います。だから、自分が能動的になれることは何か、そのやり方を考えるのも、表現を整えるうえでは大事なことなんです」
これは大舞台に立つ時も変わらないアオイさんのスタンスだが、さまざまな表現活動を重ねていく中で変化してきたこともある。
「表現を整えるうえで、緊張しない方が良いパフォーマンスを引き出せる。そう思ってやってきました。ただ、最近は考えが変わって、“緊張しない”という状況は、心の感覚を自ら鈍らせている状態ではないかと思うようになって。緊張は、あくまで感覚が研ぎ澄まされた先に起こること。そう捉えるようになって、敵から味方にすべき存在に変わりました。自分を整えるのは、ストレッチとお弁当作り、あとは心の持ちよう。特別なことは何一つありません」
MY STYLE 自己表現の基盤は、毎朝のお弁当作り
「自分の感覚を起こすための毎朝のルーティンなんです」というお弁当作り。どこにどの食材を入れるか、アオイさん自らの五感をフル回転させて、おかずのフォーメーションを決めていく。
「端には緑色の食材を置き、どこかに必ず赤色を差す。この色彩が好きなんです。そうやってお弁当作りと向き合う時間は瞑想に似ていて、頭の中や心が散らかっていると、色が散らかった盛り付けになってしまうんです」と言うように、自分の状態を知るバロメーターの一つになっている。
WHAT’S AUGER?→〈オーガー〉のタオル
「自分のありのままを表現したい」というアオイさんの姿勢に寄り添い、肌をより健康的に整えてくれるのが、〈オーガー〉の滑らかでフカフカのタオル。
秘密は、“スーパーゼロ”と呼ばれる、糸の中に空気を取り込む特殊な撚糸工法。ふっくらとした見た目通り、吸水性は抜群。朝晩の洗顔時だけでなく、ストレッチ後の必需品に。