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AUGER presents GOOD STYLE for Mr. BRUTUS かっこいい大人は、“整え方”を知っている。vol.7 ボタニカルアーティスト・宮原圭史

“身だしなみ”という分野で、「毎日の当たり前の時間」を、「暮らしを整える心地よい時間」に変えてきたグルーミングツールブランド〈AUGER〉。その価値観を共有するクリエイターが、おのおののフィールドで“大人の整え方”を自由に語る『ブルータス』の短期連載。植物を自在に操るボタニカルアーティストの宮原圭史さんは、「大自然こそ、整いの最高峰」と話す。

photo: Reiko Toyama / text: Keiichiro Miyata

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人の“手垢”がついていない大自然に学ぶ

「表現の世界は、少なからず人から評価を受けるのが常。当然、創造する側と、鑑賞する側それぞれに好みがあるので、どれだけ素晴らしいものでも万人に受けるとは限りません。ただ、この考えを凌駕(りょうが)するのが大自然です。例えば、静岡県の伊豆から見える夕日のような絶景は、万国に通じる美しさがあり、見た者すべてを魅了します。これは豊かな自然環境ゆえになせる業。理屈じゃないすごみのある景色に一歩でも近づけることが、私が植物でしつらえたい“場作り”の目指すところなんです」

宮原さんが考える造園業の基本は、自然を知ることから。そのため週末は、山の中に身を置く時間を意識的に増やしているそう。

「私にとって、大自然は学舎そのもの。日本全国、方々の山へ向かい、渓流釣りや沢登りを思う存分楽しむ。そんな生活を10年近く繰り返してきて、見えてきた世界があります。例えば、川の水が湧き出る源流に向けて沢を登っていくと、山の奥へ進むにつれて苔の生えた石が増えていきます。これは、土地が落ち着いている証しなんです」

宮原さんの作品には欠かせない苔は、まさに整った自然環境を象徴するキーピースの一つなのだそう。

「人や自然災害によって荒らされた土地だと、何かの拍子にコロコロと石が転がって生えていた苔が簡単にはがれてしまいます。最低でも10年は安定した自然環境が維持されていないと、苔むした景色にはなりません。だから、苔が一面に広がる場所は、自ずと草木も生い茂る景色になっているわけです。象徴的なのが、屋久島です。雨をたっぷりと吸収する森が育ち、地滑りが少ないから緑も深い。そういった豊かな情景を、山遊びを通して幾度も目に焼き付けてきました」

この経験で磨かれた感性が、造園業にも大いに生かされている。

10年、20年先の姿を想像して、庭に大自然を咲かせる

「今では森へ行かないと心が乱れそうになるくらい、自分を整えるうえでも欠かせないプロセスになりました。おかげで感度が高くなり、庭作りの精度は上がっていると思います。ミクロな世界でいえば、リュウノヒゲと呼ばれる小さい草を植える時だって、素直に育つための理想の向きがあります。本来の姿に逆らって、作り手のエゴを出そうと植えてしまうと、作品に私の“手垢”が残ってしまい、違和感を覚えてしまいます。それでは私の目指す庭とは言えない。こういったあらぬ方向に作業が進んでしまった時に、“何か違う”と勘が働くのも山遊びで養われた能力の一つだと思います」

庭が完成してからも、理想を追い求める作業は、10年、20年先も続いていくという。

「依頼主に受け渡してからも、ベストな状態を維持し、成長していく過程を見守るのが我々の仕事です。定期的に庭木を剪定し、草を引き、時には木を植えたり抜いたり、10年、20年先まで、庭という場を整えるお手伝いをしていきます」

広い空間をしつらえる庭作りだけでなく、小さな花器を飾る時も、向き合う姿勢は変わらない。

「お寿司屋のカウンターの装花を手がける時は、訪れた人に、お料理とともに旬を感じていただけるよう、季節のお花を添えるようにしています。メゾンブランドのイベント装花では、洋服を引き立てながらも印象に残るように心がけています。扱う植物や、表現する空間の広さや状況は何であれ、そこにもともと生えていたかのような“自然な姿”に仕上げる。さらには、山の中で深呼吸した時の香りまで、その場に宿せたら、もう言うことなし。私自身が大自然で感じた植物の生命力をできるだけそのまま暮らしに添える、そんな場作りを心がけています」

ボタニカルアーティスト 宮原圭史

MY STYLE 感覚と感性を整えるために森へ入る

「造園業は独学で身につけました」という宮原さんの感性を培ったのは、自然をフィールドにした沢登りにほかならない。「源流を目指し、道なき道を進んでいくと、人の手が一切入っていない天国みたいな場所に出会えることがあるんです」。そんな場所を見つけたら、タープを張って素泊まり。「安定した自然に身を置くと、心も安定してきます。だから、しばらく山へ行かないと、心が荒れてダメなんです」。感覚を整えるうえでも、森へ入るルーティンは欠かせないという。

〈ハイカーズデポ〉別注の〈ジマービルト〉のウルトラライトバックパックとモンベルの靴
小さいのにたっぷり入る、〈ハイカーズデポ〉別注の〈ジマービルト〉のウルトラライトバックパックと、苔むす岩場や水中でも滑りにくい〈モンベル〉の沢靴が、宮原さんのベストギア。

WHAT’S AUGER?→〈オーガー〉のツメキリ

指先の繊細な動きを必要とする仕事柄、手指のケアは欠かさない宮原さん。爪の中に土が入り込まないよう、爪切りはまめに行うそう。そこでおすすめしたいのが、ウルトラライトハイキングに出かける際にも持ち運びに便利な爪切り。折り畳むと、厚さは約3.9㎜。ポケットやバッグの隙間にもコンパクトに収まり、切れ味抜群。

〈オーガー〉のツメキリ
ツメキリ Leaf 5,500円(オーガー/貝印)

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