軽やかな素材で表出される、深遠なる哲学
北山善夫の《そうは言っても》
京都の山奥にあるアトリエで日々制作に没頭する北山善夫。その姿を見ると、「子供の時に夢中で描いた絵が今も原点にある」ということがすっと腑に落ちるよう。独学で1970年代末から作品を発表し始めた北山は、絵画を起点に、竹や紙といった軽やかな素材を用いた立体作品を作り始めます。彼の思いが空間へと増殖するように、作品の大きさは時に数十mになることもあります。
絵画と立体作品を中心に生命の循環や無常観に通ずる深い思想に基づいて制作を行っていますが、小難しく提示するのではなく、人を隔てず大らかに包み込むスケール感にいつも驚かされます。(MEM/石田克哉)