ドアを開けて出会うような日常の美しさ
風能奈々の《きれいなドアを見つける》
風能奈々の魅力は、果てしない想像力と自分の世界の構築力にあります。日々の中で体験したり感じたりしたことをきっかけに描かれる人物や図像、風景には、どこか人間の根源的な記憶につながっていくような、懐かしさや愛おしさを感じます。
彼女にとって世界を永遠に紡いでいくことは、果てることのない欲望であり、希望。作品はこの世に刻まれていく“シルシ”のようなものだと捉えているようです。きっと、重厚感のある密度の高い画面が、アクリル絵具の繊細な筆致によって生み出されていることに驚かされるでしょう。
(小山登美夫ギャラリー/小山登美夫)