Listen

Listen

聴く

「音楽に人間性が滲み出る理由を知った」。ドラマー・荒田洸が語るジャズ

今、ミュージシャンが一番夢中な音楽、それはジャズかもしれない。ロック、ヒップホップ、R&B……音楽家は、その魅力をどう捉えているのだろうか。ドラマー・荒田洸におすすめの3枚とともに大いに語ってもらった。

photo: Wakana Baba / text: Shunsuke Kamigaito

連載一覧へ

音楽に人間性が滲(にじ)み出る理由を知った

僕がドラムを始めたきっかけは、偶然見かけたスティーヴ・ガッドの映像でした。野球少年だった僕は、彼が全身全霊でドラムを演奏する姿に親近感を覚えたんです。そこから知ったジャズアーティストたちはみんな、音楽から人間性が滲み出ているように感じました。

一方、僕自身のドラムは「お客さんに思いを伝えたい!」というより、作品に対して内省的に向き合うタイプ。ただ、僕がそうだったように、リスナーが音楽から人間性を感じ取ってくれることがあって。「音楽で人間を知る」ということの本当の意味をジャズから学んだような気がしています。

荒田 洸が選ぶ、おすすめの3枚

Q1:オールタイムベストは?

『Super Trio』Chick Corea, Steve Gadd, Christian McBride

チック・コリアの冒険的なピアノに対し、ベースを支えるようなスティーヴ・ガッドのドラムが印象的なアルバムです。僕がモダンジャズのマナーを学んだ作品でもあって、基礎のフォービートであっても演奏者によって違うものになるのだと理解しました。今でも原点に戻って練習したい時によく聴く一枚です。

Q2:昨年一番聴いたのは?

『A Night at the Symphony』Laufey, Iceland Symphony Orchestra

シンガーソングライターのレイヴェイがアイスランド・シンフォニー・オーケストラと共演を果たした作品。高音のボーカルが主流になる中で、彼女の声には中音域の豊かさがあって新鮮に聞こえました。ただ、ライブ映像を観ると緊張が伝わってきて、その初々しさも含めて好きになったアーティストです。

Q3:これからジャズを聴く人へのおすすめは?

『To Pimp a Butterfly』Kendrick Lamar

ジャズからの影響を色濃く受けたラッパー、ケンドリック・ラマーの3枚目のアルバム。ロバート・グラスパーらジャズ界で活躍するプレーヤーも多く参加しています。楽曲に参加している奏者を深掘りすることがジャズの面白さなので、ヒップホップからジャズへ世界を広げてほしいと思って選びました。

連載一覧へ