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King Gnu・新井和輝が語るジャズ。“即興”に見たベーシストとしての道筋

今、ミュージシャンが一番夢中な音楽、それはジャズかもしれない。ロック、ヒップホップ、R&B……音楽家は、その魅力をどう捉えているのだろうか。ベーシスト・新井和輝におすすめの3枚とともに大いに語ってもらった。

photo: Wakana Baba / text: Shunsuke Kamigaito

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“即興”に見たベーシストとしての道筋

King Gnuのライブでは、ドラムの(勢喜)遊と2人でアドリブの演奏を始めることがあって。それができるのはジャズ的な即興の技術が染み付いているからなんです。自分にとって転機になったのが、高校生の時に観たBoys(金澤英明、石井彰、石若駿のピアノトリオ)のライブ。

即興を突き詰めたみたいな音楽が目の前で繰り広げられていて、自分はジャズを知らなければならないという、ベーシストとしての道筋が見えた気がしました。

僕らと同世代でジャズ経験を持つアーティストが多く活躍している背景には、ロバート・グラスパーの影響があるのかもしれません。彼がジャズの可能性を広げ、それに感化された人々が世に出始めた。星野源さんのようにフックアップする人がいたのも大きいですよね。

でも僕的にはまだまだ物足りないと感じていて。ジャズプレーヤーがいれば音楽はこんなにかっこよくなるんだっていう感動を当事者としてさらに広めていきたいです。

ベーシスト・新井和輝

新井和輝が選ぶ、おすすめの3枚

Q1:オールタイムベストは?

『Bass on Top』Paul Chambers Quartet

ジャズで五本の指に入るくらい有名なベーシストなんですけど、派手なプレーヤーが多い中でこの人は淡々と自分の演奏を追求している感じがするんです。このアルバムでは手グセからも渋さが際立っていて、すべての節がこの人なりのジャズを体現している。僕がベーシストとしての原点を思い出す作品ですね。

Q2:昨年一番聴いたのは?

『Live at the Kennedy Center, Vol.1』The Mulgrew Miller Trio

正統派ピアニストのライブ盤。僕は理路整然とした構成のピアノトリオを好きになることが多くて。この作品も熱く燃え盛っているというよりは、青い炎が揺らめいているイメージ。長尺のピアノソロではドープなフレーズが続けて展開され、カーステレオで流すとじんわり気分が整っていくアルバムです。

Q3:これからジャズを聴く人へのおすすめは?

『The Scene Changes: The Amazing Bud Powell, Vol.5』Bud Powell

わかりやすくビバップの魅力が詰め込まれているので、これを聴いておけば間違いないという一枚。バド・パウエルからは“余計なことをしない美学”を感じます。だからこそ彼の音楽に最初に触れることで、ほかのミュージシャンの独自性が理解できる。この作品をジャズを聴く基準にしてほしいと思います。

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