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草彅洋平さん率いる“AMAMI”と『BRUTUS』編集長・田島朗が語る、初のサウナ特集の舞台裏〜後編〜

ブルータスNo.975「サウナ、その先の楽園へ。」の発売を記念したトークショーが2022年12月8日(木)に開催。前編に引き続き、チーフサウナプロデューサーとして特集に関わった草彅洋平さんと、同氏が率いるCULTURE SAUNA TEAM “AMAMI”のメンバーである橋本健太郎さんと濱田織人さん、編集長の田島朗が語るサウナトークをどうぞ。

photo: Kenji Sakaguchi&Otsuro(会場写真), Thermen Bussloo(Aufguss WM) / text: Yohei Kusanagi, Yuji Nakano

イベントの様子
左から橋本健太郎さん、草彅洋平さん、田島朗(「BRUTUS」編集長)、濱田織人さん。

ノルウェー〈SALT〉とムンク

田島朗

僕が聞きたかったのは、ノルウェーの〈SALT〉の話です。ここはぜひ行ってみたい。

草彅洋平

〈SALT〉は荷物を入れるロッカーもなく、かなりラフな感じなんです。建物全体も自分たちで作っているDIY感がありました。

濱田織人

メインのサウナには電気ストーブが3基、薪ストーブが4基の計7基。上まで上ると、なかなか熱い。

橋本健太郎

でも天井が高すぎて、ロウリュしても意味があるのか分からないくらいでしたね。下の方はぬるくて、みんなお酒を飲みながら長く入っている感じでした。

草彅

20人くらいが入れる別棟のサウナ室もあって、そこはかなり熱かったですね。

濵田

サウナ以外にも、バーとかいろんな施設が併設されているんですよ。日本でいうと、横浜の赤レンガ倉庫にある感じかな?

草彅

例えるなら、東京駅の前が海のようなイメージですね。

田島

これ、駅前なんですね!?

草彅

そうなんですよ。オスロの観光スポットにサウナ小屋が浮かんでいるんです。湾岸には(2021年10月22日に)新しく建てられた「ムンク美術館」もあって、ムンクの絵が実はサウナっぽいことに気づきました。サウナ視点でムンクを観てみたらすごい面白かったんです。

〈ザ ウェル スパ&ホテル〉の豪華さ!

草彅

この後にいった〈ザ ウェル スパ&ホテル〉がスゲーやばくて。

濱田&橋本

すごかった!!

草彅

誌面の都合で少ししか紹介できず、BRUTUS.jpでしっかりと紹介させてもらいました。こちらぜひ行ってほしい、常軌を逸した豪華サウナ施設ですね。

ノルウェーの究極のアクアディスコテーク。サウナの宮殿〈ザ ウェル スパ&ホテル〉日本初公開!

田島

この施設だけで、本誌8ページくらいいけましたね(笑)。

橋本

人づてに聞いた「自分は大金持ちだから、地域の人たちに還元するためにこういうサウナ施設をつくっている」というオーナーの話も面白かったですよね。

〈ファリス・バッド〉とラッセ・エリクソン

草彅

この後に行った〈ファリス・バッド(Farris Bad)〉という豪華スパ施設が偶然にも同じオーナーだった。

橋本

訪れた日、偶然ですがAufguss WM (アウフグース世界大会)で世界8位になったばかりの鈴木陸&鮭山未菜美ペアが修業に来ていたので取材もできましたね。

濵田

横浜スカイスパの金憲碩社長が、ここに日本のアウフグース代表選手団を研修で送り込んだんですよね。

草彅

〈ファリス・バッド〉のラッセ・エリクソンも日本のことをびっくりするくらい勉強していましたね!

濵田

ラッセはもともと医学系の学部出身なんですよね。医学をベースに、地域社会の健康増進を考えて、サウナ施設をやっている。

田島

ウェルネスの方から入ってくる人が多いということなんですかね?

草彅

そうですね。サウナ施設があることで周囲の人々の健康を増進し、予防医療にも繋がる。そのために自分たちが役に立っているという確固としたプライドがあるのかも。だからこそ彼らは、日々サウナを勉強しているんです。

フィンランドの〈ソンパサウナ〉と「SAÚDE」

濵田

ラッセはフィンランドにある〈ソンパサウナ(Sompa Sauna)〉をリスペクトしているんですが、〈ファリス・バッド〉の横にある海岸沿いの土地に誰でも無料で入れる公衆サウナをオーナーの許可を得てつくっていました。運営するお金はドネーションで賄っていて、サウナ好きの人たちで運用している。素晴らしい取り組みですよね。

草彅

ヨーロッパのサウナーは、みんな〈ソンパサウナ〉を目標にしていたね。ここは2011年にできた場所で、もともとは海沿いにあった無人の物置を誰かがサウナにつくり変えてしまったんです。

濵田

〈ソンパサウナ〉のルールは一つ、最初に来た人が火を点け、最後に帰る人が火を消す。

草彅

薪を割る人がいたり、掃除する人がいたり、全員が自由にやっている。最終的にヘルシンキ市も認めざるをえなくなった一大サウナ観光スポットです。フィンランドに行ったら絶対行った方がいい。

濵田

最後にビールの話を。今回のサウナ特集では〈コエドブルワリー〉さんと「SAÚDE(サウージ)」というビールを共同開発しました。

ビール「SAÚDE」
SAÚDE

田島

ととのっているときに寄り添ってくれるような、低アルコールで、炭酸も控えめなビールにしようかというコンセプトで開発しました。サウナの後でも美味しいですが、意外と鍋ものに合うんじゃないかと思いますね。

濵田

ゆずのフレーバーも入っているので、相性が良さそうです。

田島

オンラインショップでも発売しますし、いろいろなサウナ施設でもスーパーマーケットでも話を進めているので、見かけたらぜひ皆さんお試しください。

濵田

サウナ用のビールがスーパーに置かれる時代がくるって、すごい話じゃないですか!

橋本

今回は「サウナ、その先へ」というのが特集テーマでしたよね。サウナでのお酒は日本だと少し危ないと思われがち。それをいかに楽しむかという世界観でつくりました。「SAÚDE」はポルトガル語で「健康」と「乾杯」と言う意味で、ビールだけど健全に飲める、元気になれるという意味が込められています。

濵田

ちなみに、ラベルは84ken(橋本)デザインです。

田島

これから、主要なサウナ施設でも取り扱いが始まると思うので、みなさんぜひ!!