米子という特異な町が生んだ
プチ百貨店。
ちょっとリッチな気分を味わいに百貨店へ行く。昭和から続く日本の風景だが、人口14万人の米子市は少し様子が違う。
「髙島屋はあるものの、ことファッションにおいてはハイブランドの取り扱いはほぼありませんでした。米子が取り残されないために、一念発起して店を開業しました」と〈ザ パーク〉のバイヤー木村和司さんは話す。
町のブランド空洞化を埋めるように、1997年の創業時から、海外ブランドを並行輸入で仕入れ、販売。今では100を超すブランドを正規で揃えるミニ百貨店並みのラインナップを築いた。
店頭には、メゾン マルジェラ、ドリス ヴァン ノッテン、リック オウエンス……。世界の錚々たるブランドを口説けたのは、取り扱うライバル店が少なかったからだけではない。米子城の梁が建具に使われた明治元(1868)年築の〈隅田邸〉を改装した店舗は、海外デザイナーも視察に訪れるほど、日本の温故知新を感じさせる唯一無二の空間。
1階にはカフェを併設し、由緒正しい邸宅の趣を存分に味わえる。
「台風や地震といった災害が全国でも少なく、日本の有事の際にはブランドから“他店舗の在庫を回していいですか?”という相談も多くいただきます」とブランドの駆け込み寺のように頼られている。
米子のいちショップながら、その販売力と影響力は日本のファッション界でも一目置かれている。