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鹿児島〈生活道具デシリットル〉南国生活に適した“実用性のあるウェア”を追求

地方のセレクトショップがますます面白い。ブルータスが主観で絞り込んだ、とっておきのお店をご紹介します!

Photo: Keisuke Fukamizu / Edit: Toromatsu

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南国生活に適した
“実用性のあるウェア”を追求。

太平洋に面し、すぐそこは宮崎県という県境、志布志市にある〈デシリットル〉は生活道具の名店。商品構成は食器や、籠、手ぬぐいなど、生活にまつわる雑貨が中心で洋服は全体の30%程度。だが、そのセレクトも極めて良い。

大阪の〈文化屋雑貨店〉でキャリアを積んだ生重雅代さんが集めた〈松野屋〉などの質の良い道具類は無論、アパレルは日本の作業着・もんぺが定評のフジノドール、質のいい宮崎のメーカー・アウリコのシャツ類、エプロンを得意とするナプロン、鹿児島発のヒヒヒが中心。

セレクトが道具としてだけでなく、ファッション目線でも面白いものばかりなのは、店主のユニークなバックグラウンドから。

雅代さんは大阪でロンドン買い付けの古着店を営んでいた経歴を持ち、鹿児島で唯一レコードストアデイに登録している名の通ったヴァイナルDJでもあるのだ。

鹿児島〈生活道具デシリットル〉オーナー・生重とその兄
右がオーナーの雅代さん、左は雅代さんの兄で、〈デシリットル〉に併設されているダイナー、〈ミールス アンド グラインド ドライブイン〉の店主。共にヒヒヒやフジノドールを軸としたコーディネート。

「日差しも強く、暖かい気候の鹿児島では男性も女性も、ファッション然としすぎていると悪目立ちしてしまう。だからといって地味でいいかというとキブンも乗らない。庭仕事や農作業をしている慌ただしい時に、ちょっと休憩で行くカフェも、なんならそのままPTAの仕事にも行けるようなものであることがこの町には嬉しいんです。

あとは着心地が良く、たくさん洗濯してもヨレないもの、サンダルにも合うイージーなもので、地産地消であることも大切!」

町の洋服屋が小粋にセレクトするものでも、ここではどこか道具のように雑然と置かれている。最も鹿児島らしい実用性を兼ね備えたリアルクローズと出会いたいなら、この店を置いてほかにない。

鹿児島〈生活道具デシリットル〉店内
ホームページもECもないが、3年目を迎えた今でも毎日売り上げが立つという、いわば何でも揃う店。アパレルはもちろん、生活道具を頼りにぜひ訪れてほしい。

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