食事から睡眠まで生活すべてがシームレスでつながる空間
大阪・北浜エリアで立ち飲みの酒場〈wapiti〉をはじめ、3店舗を切り盛りするオーナーの秋谷直弘さんととも恵さん夫妻が、目の前に公園を望む理想的なマンションと出会ったのは2022年のこと。今ある店も設計している直弘さんがこの60m2の一室も手がけ、リノベーションを施した。基本的に壁で仕切りたくないことからキッチン、ダイニング、リビングと一続きの広いワンフロアに。
寝る場所に関しても「寝室」を設けることはなく、フロアの一角にベッドを置いた。ベッド周りには、ビカクシダや多肉植物が所狭しと並んでいるが、コロナ禍で在宅時間が増えた際に、直弘さんがハマり、朝目覚めた時には一番に見たいと壁や天井にも飾るように。風通しや光、温度、湿度など丁寧な管理のおかげでぐんぐん育ち、今では寝ていると胞子が舞ってくるのがわかるほど。まるで植物の中で寝ているみたいだと笑う。
眠る時に点灯させる〈TRUCK Furniture〉のランプやアーティスト、元永彩子のドローイング、〈ARUSE〉の照明など、普段から交流のある作家の作品やアート、プロダクトもいつでも目に入る場所に。
「模様替えが好きでしょっちゅう替えています。それこそ食事から寝るまでの行動を部屋で区切りたくないので、一つの空間にお気に入りを飾り、ここにすべての生活があるというのが理想です」と直弘さん。
普段2人が店を終えるのは夜中の0時過ぎ。それでも店と家が近いので、空間同様に仕事と暮らしを明確に線引きしないことがちょうどいい生活スタイルだという。
「おそらく一般の方たちとは時間軸がずれてます。面白いのは疲れ切ってバタッて寝る時も、帰ってきて映画を観ながらソファで寝落ちする時も、大体2人で同じことをしてるんです(笑)」とはとも恵さん。「どんなに喧嘩しても、一緒に寝ることが夫婦円満の秘訣です」と教えてくれた。