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中川諒「赤恥研究所」:頭にきて後輩を叱ったけど、実は自分のミスだった。怒りが大きいほど恥ずかしい展開に

日常に潜む、赤っ恥な場面をどう切り抜けるか。あなたの人間力が試されるときです。「恥」をポジティブに捉えることができれば、人生を切り拓くキッカケにもなるのです。人生のカンフル剤に、あなたはちゃんと向き合えますか?

text: Ryo Nakagawa / illustration: Kaori Asamiya

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『怒リバウンド』

喫茶店で話す男女二人のイラスト

「ねえ、資料直してってさっきお願いしたよね?」。平日のお昼過ぎ。喫茶店の窓際の席に座っていると、30代くらいで元スポーツマンという風貌の長身スーツ姿の男性がパソコンを前に、20代の女性を叱っているのが聞こえてきた。イマドキ珍しいパワープレイである。しかし観察していると、どうやら後輩には反省した様子がなさそうだった。むしろテーブルを挟んで少し物言いたげな表情をしているではないか。「もう、やる気がないとしか思えない!!」。先輩はその雰囲気を読み取って、余計にイライラを募らせていた。


何か弁解があるんだろうか。これまで口をつぐんでいた後輩の女性が口を開いた。「これ、私が送った最終版の資料じゃないですよ。先輩が出力を間違えたんじゃないですか?」。おっとこれは、ビデオ判定が必要なレベルの意外な展開。ミスをしたのは後輩ではなく、先輩だったようだ。「ふえっ??」。先輩は驚きと恥ずかしさが入り交じったような表情のまま「ここは奢ってやるよ」と、なぜかコーヒーでお茶を濁す展開。先輩の判定ミスに、後輩はまだ消化不良のようだ。

一度振り上げた拳を引っ込めるのは、とても格好が悪い。振り上げた拳が高ければ高いほど、恥ずかしいもの。そんなとき、わたしたちの的外れな怒りは、ゴールすることもできず手持ち無沙汰になってしまうのだ。でも手元にボールがあるうちは、まだチャンス。ここで恥を乗り越えて素直に謝れるかどうかで、相手からの信頼を回復できるかどうかが決まってくる。あなたなら試合が終わる前に、謝罪のシュートでゴールネットを揺らすことができるだろうか。

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