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私が好きな冒険の本と映像。ジャーナリスト・丸山ゴンザレス

夏が来た、冒険の季節がやってきた。五感を解き放つ大自然へ、たった一人で孤独と向き合う旅へ、世界の裏側にあるリアルを求めて……。人はなぜ、冒険に惹かれるのか。その答えを求めて、冒険好きの丸山ゴンザレスさんに、一番好きな冒険作品を教えてもらいました。観るだけで、読むだけで、心沸き立つ作品。この夏、あなたの常識を覆してくれる冒険作品がここに!

本記事は、BRUTUS「冒険者たち。」(2025年7月1日発売)から特別公開中。詳しくはこちら

illustration: Ryo Ishibashi / text: Ryota Mukai / text&edit: Emi Fukushima

世界の裏側にある“リアル”に踏み込む

私にとっての冒険は、社会的に踏み込めない場所にあえて踏み込むこと。惹かれるようになったのは、学生時代のバックパッカーとしての経験が大きいですね。各国のリアルを目の当たりにして、日本では当たり前の価値観がいかに一面的か突きつけられました。

その後の私の経験と強くリンクしたのが『ナルコス:メキシコ編』。

『ナルコス:メキシコ編』
実在のカルテルや出来事を通して、メキシコの麻薬戦争を描くNetflixオリジナルシリーズ。全3シーズン。'18米/監督:ジョセフ・クボタ・ラディカほか/Netflixにて独占配信中。Carlos Somonte / Netflix

DEA捜査官カマレナ誘拐事件をきっかけに国家ぐるみで真相が隠されていく展開は、私が取材を通して知った麻薬カルテルと政治・警察・軍との癒着そのものでした。

そして取材に欠かせないのは、知性と行動力。このことを教えてくれたのが漫画『MASTERキートン』でした。

『MASTERキートン』
英国陸軍特殊部隊出身にして、考古学の大学講師、保険会社の調査員として働く平賀= キートン・太一の日々を描く。完全版は全12巻。脚本:浦沢直樹、勝鹿北星、長崎尚志/作画:浦沢直樹/小学館/1,362円~。

主人公のキートンは考古学という“静の世界”と、イギリス陸軍の特殊部隊出身という“動の世界”を併せ持つ人物。冷静かつ人間味をもって危機を乗り越えていく彼の姿に、裏側の世界に踏み込むうえでの理想的なスタイルを学びました。

No.「1034冒険者たち。」ポップアップバナー