誰かの日常に触れることで世界の広さを体感する
トラベルカルチャー誌を編集している私にとって、知らないものに出会う時は冒険していると感じる瞬間。映画『アース』も、そんな感覚を呼び起こしてくれました。普段見ることのできない野生動物の世界を知れ、同時に「私たちはなんて美しい星に暮らしているんだろう」と、平凡な毎日までもが尊く思えました。

ウォーカー・エヴァンスの写真集『HAVANA 1933』も、心を強く揺さぶられた一冊です。社会主義国家のキューバに抱いているイメージを覆すような1930年代の人々の姿。まるで映画のワンシーンのようでもあり、ファッション広告のようでもある。

キューバの首都ハバナを収めた写真集。キューバ革命以前に撮影され、当時の街並みやおしゃれをして歩く人、働く人の姿など日常の風景を切り取る。写真:ウォーカー・エヴァンス/Thames & Hudson/品切れ。
なにげない風景の中に、時代や場所を超えたドラマが詰まっていて、この時代のキューバを歩いてみたかったと、何度もページをめくってしまいます。誰かにとっての日常は、私にとっては新鮮で冒険のようだ、どちらの作品もそう感じさせてくれます。