1980年代、建築家やデザイナーはイッセイミヤケを、ミュージシャンやアーティストはヨウジヤマモトを纏う時代があった。そんな時代が、流行に敏感な若いクリエイターを中心にリバイブしつつあると聞き、緊急調査した。
彼らを熱狂させるショップが、大阪で30年近くヨウジヤマモトのアーカイブを中心に蒐集する〈グランド・ルー〉だ。
オーナー溝上雅之氏は、年に1度、ヨウジヤマモトのアーカイブでファッションショーを行うほど。いわく、「今は、袴や着物などをモチーフにしたデザインが人気です。最近は海外からも、たくさんのお客さんが来ます」。
それもそのはず、再評価の動向の一端を担うのが、ロンドンで活躍する若手ミュージシャンやDJである。
なかでも国内外から注目されるミュージシャンのアルカはイッセイやヨウジを愛着するだけでない。MVにもイッセイがアーヴィン・ペンとコラボレーションした作品が色濃く反映されている。
美しいドレープやプリーツが施された日本人が80年代にデザインした服が今の音楽に影響を与えているのだ。画一化するファッションにおいて、他人と同じ服を着ることを嫌悪するミュージシャンたちが行き着いたのがイッセイミヤケやヨウジヤマモトだった。
約40年前のクリエイションがいま再び、若いクリエイターを刺激している。