写真で見る、居住空間学。自由で気持ちのいい4つの空間

2023年12月18日発売のBRUTUS特別編集「合本 居住空間学」から、自由で気持ちのいい4つの居住空間を紹介。建築家が遺した名作タウンハウスから、倉庫をリノベしたヘアサロン併設の自宅まで。住まい方のヒントが見つかります。

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築40年、緑の建築家が遺したタウンハウスの名作に住む

服部滋樹(〈graf〉代表)

家選びの理由や決め手となる事柄は、人それぞれ、様々だ。駅への近さから選ぶ人もいれば、周辺環境が最優先、窓からの眺めで決める人もいる。〈グラフ〉の服部滋樹さんがこの家を選んだ理由は、建築家、石井修の設計だったから。

居住空間学 ブルータス
大阪府寝屋川市。服部滋樹さんが住むタウンハウス〈ドムス香里〉。1981年の完成で賃貸棟は全17戸。設計は「緑の建築家」とも呼ばれた石井修。春夏は敷地内の木々が建物を覆うようにして木陰を作り、葉が落ちる秋冬には暖かな日差しが降り注ぐ。

クローズドキッチンの内部。

低い天井で洞窟のような趣のダイニング。

リビングは敷地東側の後庭へと続く。間口は3.8m。

リビングの一角。

photo:Keisuke Fukamizu/text:Tami Okano

デザインの遊びが際立つ、真っ白なリビング

岡林広之(メーカー勤務)

愛知県の三河安城駅から車で10分ほどの住宅街。両側を道路が走る敷地に2階建ての家を構えた、会社員の岡林さん。インテリアショップ〈プレイマウンテン〉が好きで、もし将来、家を建てるなら同店の母体である〈ランドスケーププロダクツ〉に設計をお願いしたいと、長年考えていたという。その夢を叶えたのは、2022年のこと。2018年末の依頼からコロナ禍を挟んで、実に3年がかりのプロジェクトとなった。

テレビ台も兼ねた飾り棚に、買い集めた工芸品やアートピースが並ぶ。

階段の吹き抜けには、もともと敷地にあったシラカシを望むピクチャーウィンドウを設けた。

ダイニングの横には、少し天井を低くした人造大理石のコンパクトなキッチン。

造り付けの棚とアールの壁の先に、階段が続くエントランス。

photo:Sayuki Inoue/text:Asuka Ochi /edit:Tami Okano

小ささは暖かさ。3連の四角い窓から山々を望む

大谷浩輔(〈Kolonihave〉代表

北海道は東川から美瑛へと抜ける国道沿いに、町のランドマークとも言える築60年のレンガ倉庫がある。地元・東川農協が穀物倉庫として使っていた建物で、大谷浩輔さんは5年前にその倉庫を買い受け、建物の3分の2をスケートボードのインドアパークに、残り3分の1をスノーボード関連のオフィスと住居に改修し、暮らしている。

〈Kolonihave〉代表・大谷浩輔/北海道 自宅 キッチン
キッチンを北側の壁側に配し、リビング・ダイニングをコンパクトにまとめた居住空間。秘密基地のような1階のパークとは対照的に、窓からの日差しで明るく、眺望も抜群。

リビング・ダイニング。

倉庫の中に木造で建てた住まいへの入口。

薪のストックとストーブ周りの道具を集めた一角。

photo:Taro Hirano/text:Tami Okano

“ほぼ倉庫”だった古いビルをヘアサロン&自宅にリノベーション

楢原一雄(〈BALL HAIR〉店主)

1966年竣工のビルを改装し、1階をヘアサロン、2階を住居とした。外壁の店名ロゴは、1920年代に機能主義的デザインを提案したドイツの学校〈バウハウス〉風。福岡県久留米市にある〈BALL HAIR〉店主の楢原さんが長年憧れる美術学校へのオマージュ。

このビルを選ぶ決め手になった階段室。

元は水回り設備のなかった2階に新設した洗面スペース。

ビルの屋上階には木造の小屋を自作して、離れの書斎のように使っている。

2階、ラウンジの奥に続くプライベート空間。

Photo:Keisuke Fukamizu/Text:Masae Wako

BRUTUS特別編集「合本 居住空間学」では、住まいの達人たち38組が語る、大切な暮らしについての話を紹介。海外の暮らし方やリノベーションまで、人気特集・居住空間学3年分を合本とし、1冊にまとめました。