写真で見る、居住空間学。自由で気持ちのいい4つの空間
築40年、緑の建築家が遺したタウンハウスの名作に住む
服部滋樹(〈graf〉代表)
家選びの理由や決め手となる事柄は、人それぞれ、様々だ。駅への近さから選ぶ人もいれば、周辺環境が最優先、窓からの眺めで決める人もいる。〈グラフ〉の服部滋樹さんがこの家を選んだ理由は、建築家、石井修の設計だったから。
クローズドキッチンの内部。
低い天井で洞窟のような趣のダイニング。
リビングは敷地東側の後庭へと続く。間口は3.8m。
リビングの一角。
photo:Keisuke Fukamizu/text:Tami Okano
デザインの遊びが際立つ、真っ白なリビング
岡林広之(メーカー勤務)
愛知県の三河安城駅から車で10分ほどの住宅街。両側を道路が走る敷地に2階建ての家を構えた、会社員の岡林さん。インテリアショップ〈プレイマウンテン〉が好きで、もし将来、家を建てるなら同店の母体である〈ランドスケーププロダクツ〉に設計をお願いしたいと、長年考えていたという。その夢を叶えたのは、2022年のこと。2018年末の依頼からコロナ禍を挟んで、実に3年がかりのプロジェクトとなった。
テレビ台も兼ねた飾り棚に、買い集めた工芸品やアートピースが並ぶ。
階段の吹き抜けには、もともと敷地にあったシラカシを望むピクチャーウィンドウを設けた。
ダイニングの横には、少し天井を低くした人造大理石のコンパクトなキッチン。
造り付けの棚とアールの壁の先に、階段が続くエントランス。
photo:Sayuki Inoue/text:Asuka Ochi /edit:Tami Okano
小ささは暖かさ。3連の四角い窓から山々を望む
大谷浩輔(〈Kolonihave〉代表)
北海道は東川から美瑛へと抜ける国道沿いに、町のランドマークとも言える築60年のレンガ倉庫がある。地元・東川農協が穀物倉庫として使っていた建物で、大谷浩輔さんは5年前にその倉庫を買い受け、建物の3分の2をスケートボードのインドアパークに、残り3分の1をスノーボード関連のオフィスと住居に改修し、暮らしている。
リビング・ダイニング。
倉庫の中に木造で建てた住まいへの入口。
薪のストックとストーブ周りの道具を集めた一角。
photo:Taro Hirano/text:Tami Okano
“ほぼ倉庫”だった古いビルをヘアサロン&自宅にリノベーション
楢原一雄(〈BALL HAIR〉店主)
1966年竣工のビルを改装し、1階をヘアサロン、2階を住居とした。外壁の店名ロゴは、1920年代に機能主義的デザインを提案したドイツの学校〈バウハウス〉風。福岡県久留米市にある〈BALL HAIR〉店主の楢原さんが長年憧れる美術学校へのオマージュ。
このビルを選ぶ決め手になった階段室。
元は水回り設備のなかった2階に新設した洗面スペース。
ビルの屋上階には木造の小屋を自作して、離れの書斎のように使っている。
2階、ラウンジの奥に続くプライベート空間。
Photo:Keisuke Fukamizu/Text:Masae Wako
BRUTUS特別編集「合本 居住空間学」では、住まいの達人たち38組が語る、大切な暮らしについての話を紹介。海外の暮らし方やリノベーションまで、人気特集・居住空間学3年分を合本とし、1冊にまとめました。