人望厚くフレンドリーな店主に
いつでも会える店。
JR新青森駅から車で約15分、地方都市らしい大型商業施設が立ち並ぶバイパスの風景は、どこかアメリカの街を思わせる。そんな街路樹のある通り沿いに忽然と現れるのが〈アリゾナ ハイウェイ〉だ。
札幌の人気店〈アンプラグド〉で長年マネージャー兼バイヤーとしてシーンを盛り上げてきた小俣弦也さんが独立し、2019年に開店。瞬く間に話題となり、新作発売日には行列ができ、別注をかければ全国から問い合わせがやまないという。
2005年に店を構えてから、複数店舗を経営するほどの人気店だったそうだが、今ではここを残すのみ。なぜ、1店舗に絞ったのか?
その理由をオーナーの柿崎健太朗さんが教えてくれた。
「実は、別店舗に来てくれたお客さんが“柿崎さんいないんですか?”と帰ってしまうことがあって、これじゃダメだと。会いに来てくれるお客さんを大切にしたいと思い、ここだけにしました」
今でも地元の大型商業施設から出店の話が来るそうだが、のとして現店舗を一人で温め続けている。そんな彼を信頼する顧客との関係はとてもフレンドリーだ。
「もちろんみんなお客さんですけど、この店の服が好きであれば気が合うことが多いので、友達のような関係になるんです。一緒にキャンプや、スノーボードにも行きます。お金がなくてうちだと古着しか買えなかった中高生が、大人になってから新品の服に袖を通すようになることも。服を通じて人が集まり、他人同士が繋がっていく感じが楽しいんです」
と柿崎さんは、嬉しそうに話す。大都市ではなかなか味わえない昔ながらの“洋服屋”の文化が、青森には、まだ残っていた。