場所にとらわれず、あちこちで働く時代。
内田
僕は美容室っていう職場があるけど、須藤くんはケータリングでいろんな場所に行くわけで、つまり毎日違う場所で働いてるわけでしょ?
須藤
そうですね、アパレルショップとか、イベントのポップアップとか、地方にも行きますし。内田さんの〈hair salon LECO〉にも、毎週水曜日にお邪魔させてもらっていて。
内田
店の中にフリースペースがあるから、そこでミルクティーを淹れてもらってるんだよね。お客さんにも好評だし、スタッフも「水曜日はミルサーの日!」って嬉しそうにしてる。
須藤
嬉しいですねえ。でも、内田さんもずっと店にいるというよりは、セミナーで地方に行く機会も多いですよね。
内田
あー、そうだね。講師として地方に行くことは多いね。Leeちゃんは家で描いてるの?
Lee
私はけっこうハチャメチャかも。2週間引きこもることもあれば、月の半分くらい出張してウィンドウに絵を描くこともあるし。普通の絵描きとは違う動きをしてる気がします。クライアントワークもやるし、個展もやるし、最近は7m✕6mくらいの壁画も始めちゃって。
須藤
この間は『森、道、市場』(愛知で年1回行われている野外イベント)で似顔絵屋さんやってたもんね。
Lee
うん。フリーランスになってまだ3年だから、まずは色々やってみて、絞っていけたらいいなって思ってます。一度は体験してみないと、オファーを受けたときに向いてるか向いてないか説明ができないから。
内田
わかる。クライアントワークを大事にするからこそ、個展をやるんだよね。店では、お客さんはお金を払ってその髪型で暮らすわけだから、仕上がりはわりとシンプル。でも美容師の全国大会に出るときは、好きを100%出して“作品”としてヘアスタイルを作る。そこは完全に自分のエゴというか。
須藤
僕も、〈ケニヤン〉から独立したあと、自分なりのミルクティーベースを作ったんです。お店側は「同じ味を出してもいいよ」って言ってくれたけど、独立するならオリジナリティを出したくて。〈ケニヤン〉の流派も大事にしつつ、試行錯誤して自分だけの味を作っていった感じです。
内田
そういう感覚って仕事をするうえで大事だよね。自分ならではのクセっていうか。
Lee
私の場合、相手の気持ちを汲みとるのが苦手なのか、描くうちに絶対に「私!」がいちばんに出ちゃう。やりたいことがどんどん先行していくから、逆らえない。ある意味これもクセ。
須藤
うちのメニューボードの文字を見て「Leeさんですよね?」って言われるのはすごいと思う。僕は絵が全然描けないから、とにかくリスペクト。
Lee
サインペインターとも違うんですよね。それは私が絵をやってきたから、ああいうテイストになるんじゃないかなって。5年前にサインペインターに憧れて練習したこともあるんですけど、向いてなかった。
須藤
内田さんにもあるんですか?「これは内田さんが切ったな!」みたいな、誰でもわかる美容師ならではのクセって。
内田
自分じゃわからないけど、多分あるんじゃないかなあ。だから指名してくれてるんだと思うし。僕の場合、意識するのは“どう切るか”よりも、その人を“どう切り取るか”。お客さんに「この髪型にしてください」って写真を見せられても、その髪型のどこが好きかわかっていないことが多い。物理的に1センチ短くしたいのか、この雰囲気をまといたいのか、カウンセリングしながら切っていく。
須藤
なるほど!普段よく会ってますけど、仕事の深い話ってしないから、なんか嬉しいです。
Lee
ね!普段は全然しないよね。
内田
やっぱりこういう場所でもないと、なかなかね。
みんなで集まって、夢を叶える。
〈LIT〉は、一棟をまるごとリノベーションした、アフターコロナ時代の働き方を提案するコミュニティワークプレイスだ。馬喰町駅、馬喰横山駅、浅草橋駅の3駅にアクセスできる利便性を持ちながら、すぐそばには隅田川が流れ、東京の自然が感じられる。この数年で急速に食やアートが盛り上がっている、蔵前や日本橋といった街にも近く、街から刺激を得られる環境でもある。
基本は1フロアにつき1テナントが利用できるが、曜日ごとに貸し出すフロアもある。エントランスと直結した1階ラウンジにはデスクもあり、自由に仕事や打ち合わせが可能。コーヒースタンドでは、決まった時間にバリスタがラテなどのスペシャルコーヒーを無料で提供することで、所属の枠を越えたコミュニケーションが発展していく。
現在〈LIT〉では、入居審査時に「賃料、夢払い。」というスペシャルな入居審査を設けている。コロナ禍の今だからこそ、過去の実績や支払能力の有無といった一般的な基準から離れ、叶えたい“夢”がある企業に〈LIT〉にジョインしてもらいたい。「賃料、夢払い。」に自分のビジョンをぶつけて合格すれば、なんと1年間の賃料が無料になるという。
ひとくちに夢といっても色々あるけれど、3人は現在の働き方の先に、どんな展望を持っているだろう。もしも「賃料、夢払い。」に自分のビジネスプランを応募するなら?
須藤
これはでっかい夢ですけど、僕、いつかガリガリ君とコラボしたいんですよね。
内田
ガリガリ君?アイスの?
須藤
そうです。
Lee
でも紅茶味ってもうありそう。
須藤
多分あるけど、うちのミルクティーの味でコラボしたくて。ガリガリ君のMILK TEA SERVICE®味!
内田
ということはあのパッケージ、ガリガリ君が須藤くんと同じアフロになるんだ(笑)。
須藤
そうです。〈LIT〉のスペースをめいっぱい使って、紅茶やアイスの研究をしまくります。それでここで働く人たちにガリガリ君の話をして、どうにか中の人と繋がっていく!可能性はゼロじゃないはず。オフィス代がかからない分、茶葉やスパイスを買いまくります。匂いには気をつけます!
内田
なんだかすごく応援したい(笑)。Leeちゃんは?
Lee
そうやって、誰かと繋がっていくのってすごく大事ですよね。フリーランスで事務所に入ってないけど、友達とか仕事でお世話になった人が仕事を紹介してくれることがものすごく多いんですよ。しかも私のことを理解したうえで、「これはLeeちゃんに合うと思うよ」って。あちこちにマネージャーがいる感じ。
須藤
僕もよく「Leeさんにこの件伝えてください」って言われて伝言してる。確かにマネージャーみたいな気分かも。
Lee
そうやって離れた場所でもお互いにコミュニケーションが取れてるけど、一緒にいたら困ったときに相談できる。例えばフリーランス何人かで会社を立ち上げて、〈LIT〉をみんなの仕事場にするのも楽しそう。デスクワーク系の職種だけじゃなくて、ケータリングとか美容師がいたら、可能性がワッと広がる気がする。1年間賃料がかからずに自宅とは別の仕事場ができるって、フリーランスにはものすごく嬉しいことだし。
須藤
10階のハングアウトスペースを使ってワークショップを開くのは? 前々からずっと“ミルクティーの作り方ワークショップ”をやってみたかったんだよ。ここならキッチンがあるし、広さも十分だから余裕でできちゃうと思う。茶葉の飲み比べとか、スパイスの違いとかも説明したいし。
Lee
私もワークショップやりたい! よくポップアップの似顔絵屋さんをやってると、若いお客さんに「どうやったら絵だけで食べていけるんですか?」って聞かれるんです。私でよかったら色々教えてあげたいし、絵の描き方系のワークショップにも興味がある。ここなら広いし、教えやすそう。
内田
より交流を促すためにイベントを開催するのも楽しいよね。髪切るし、絵も描くし、ミルクティーも飲めちゃう。僕ら以外にもいろんな職種の人がいるだろうから、それぞれの得意分野を活かして。その日だけ一般にも開放したら、普段どんな働き方をしてるかがわかって面白いよね。
Lee
オフィスの造りも素敵だから見てほしいですよね。
須藤
僕、実際にオフィスでミルクティー淹れることも結構あるんですよ。だから〈LIT〉に入居しつつ、全体にケータリングしまくることもできますよ。
内田
それめちゃくちゃいいじゃん!
Lee
私そこで働こうかな。でもポンコツだったら、須藤くん、きっと言いづらいよね。
須藤
「いいよいいよ、やるから大丈夫だよ」ってすぐ言っちゃいそう(笑)。
「賃料、夢払い。」
実現したい夢をプレゼンテーションし、見事合格した方々に1 年間無償でオフィスを提供するプロジェクト。オフィス自体の在り方が見直されるコロナ禍の今、これまでのオフィス賃貸の審査項目である「業種・事業内容による法人としての支払能力があるか」「過去の支払実績があるか」だけでは、LITの目的である“イノベーションの後押し“は達成できないという観点で立ち上げたもの。審査員に圓窓代表の澤円さん、ILLUMINATE代表のハヤカワ五味さん、映像作家・クリエイティブディレクターの藤井亮さんを迎え、最終面接後に入居企業を決定する。
募集期間:募集中〜2021 年 7 月 31 日 23 時 59 分まで。(8月下旬に最終面接を実施、9月上旬以降に入居者決定予定)
現在プロジェクトエントリーを受付中。
URL:https://lit-workplace.com/project-yumebarai/