夜までどうする?30分余った時の、福岡での過ごし方

見る、食べる、買う。旅先での過ごし方は千差万別だけれど、せっかくならその土地独自の体験を模索したいもの。ならば福岡で過ごす一日はどうだろう。この街は、コンパクトであるうえに移動手段も豊富。少し足を延ばせば一風変わった水族館や離島にだって行けてしまう。ひるがえって、実は近場に予期せぬ特別な体験を得られる場所がいくつも潜んでいる。ここでは、買い物や食事はそこそこに、所要時間別の明確な実体験テーマをプランした。

photo&text: Kenichi Seguchi (common), Maiko Shimokawa (common) / edit: Yoshiko Asano (nico edit)

買い食いの聖地で
ハムエッグを頰張る

博多駅

博多っ子のソウルフードの一つに、有明海の干潟に生息する珍魚・ムツゴロウの形をした「むっちゃん万十」がある。“ブサ可愛い”ルックスをそのまま焼き型にし、中にあんやカスタードを閉じ込めた焼き饅頭だ。約10種類ある中で一番人気なのが、惣菜系のハムエッグ180円(税込み)。半熟卵とハム、千切りキャベツが特製マヨにトロッと絡み、小腹を満たしてくれる。天神のソラリアステージにも店舗があるので、近場に行くなら立ち寄るべし。

がっかり観光名所(?)の一つ
「元寇防塁跡」を巡る

西新

歴史遺産に目立つものが少ないと言われがちな福岡。でも「元寇防塁跡」があるじゃないか! 意外なスケール感の小ささに“がっかり名所”なんて言われることもあるけど、侮るなかれ。実はここ西新地区のほかに、福岡市内の9地点にその遺構はある。驚くべきはその距離。総延長は西区(今津地区)を皮切りに東区(松原地区)までの約20㎞!岩と岩の内部に小石を詰め、かつての海側を切り立たせるフォルムも、先人の知恵が光るアートなのである。

万年筆インクを選び
旅の思い出を色濃くする

大手門

店内に入ると、ヨーロッパの古本屋のようなノスタルジックな香りがふわり。飴色の什器に、色とりどりのペーパーアイテムが並び、一瞬で文具好きの心を掴む光景が広がる。ここではぜひ、世界の偉人をテーマにドイツで手作りされた「ヤンセンインク」を使って万年筆を試し書きさせてもらおう。ブルーの美しい色合いが、その日の青空とシンクロして見えるかも。窓際の席に座り、うっとりするインクカラーで手紙を書くのも、旅のいい思い出に。