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家具も工芸品も音楽も、全方向への偏愛を詰め込む。〈HOUSETRAD〉デザイナー・細田邦彦の部屋



住宅設計やリノベ、家具製作も行うインテリアデザインスタジオ〈ハウストラッド〉のデザイナー、細田邦彦さん。2023年に購入し、夫婦と娘の3人で暮らす2LDKにフルリノベした、ヴィンテージマンションの一室を訪ねます。


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photo: Ayumi Yamamoto / text: Masae Wako / edit: Tami Okano

アーチ形の開口でつながる、緩やかなワンルーム

丘の上の低層住宅に住みたい。好きなモノがギュッと詰まった家で暮らしたい。理想の物件探しにかけた年月は20年。インテリアデザインスタジオ〈ハウストラッド〉のデザイナー細田邦彦さんの自邸は、都心から離れた高台に立つヴィンテージマンションの一室だ。購入したのは2023年。約100㎡の5LDKを、夫婦と娘の3人で暮らす2LDKにフルリノベした。設計はもちろん、自身の手で。

オーディオルームから見たリビング
オーディオルームからリビングを見る。連続するアーチは奥がキッチン、手前が寝室や浴室へ続く廊下。

「目指したのは緩やかなワンルームです。リビングダイニング、オーディオルーム、寝室と分かれてはいますが、家全体ではなんとなくつながっているようにしたかった。構造上、壁が壊せない部分もドアは付けず、アーチ形の開口で空間を柔らかくつなぎました」

どこにいても家族の声やレコードの音が聞こえるし、程よく囲まれた居場所が持てるのもいい。

「各部屋は、壁天井の色や素材によって雰囲気を変えています。自然光が入るダイニングは光を反射する漆喰の白。オーディオルームはトーンを落としたピンク色の天井と味のある無垢材の壁。寝室は薄いグレーの壁とオークの天井で穏やかな印象に仕上げました」

そんな細田邦彦さんが惹かれる家具や器とは……?

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