この夏、新しい物語に出会いませんか
いつから本を読めるようになったのか。漫画は好きだが活字は苦手で、学校の読書の時間も、仕方なく読んでいたタイプだった。それが高三のときに、小説が原作のドラマにハマって読み始めた本がある。文字だけで表現されているのにあまりにも面白くて、隙間があれば続きを追っていた。その一冊がきっかけで、私は本を読むことに抵抗がなくなったように思う。
そして、大学4年生になった2020年春頃、コロナ禍により授業もバイトもなくなり、遊びに行くこともできなかったので、私は唯一開いていた近くの本屋さんに通った。事前に目星をつけていたものや、平積みされていてたまたま目に入ったものを5冊くらい買って帰っては、毎日一冊ずつ読んでいた。
たまに物語に出てきた料理を作ってみたり、直近で読んだものが刺さりすぎて読後1週間別の本が読めなくなったり……。今思うと、本が読めたおかげで私の自粛ライフはかなり充実していた。あの時期に読んだ小説の好きな台詞は今も思い出せるし、誰とも会わない日々だったけれど、多くのものに出会えたような気がしている。
今回の特集「文芸ブルータス」には、書き下ろしの国内作品や、初邦訳の海外作品など、16本の物語を掲載している。この本が、みなさんの新しい読書の入り口になりますように。
今年の夏は涼しい部屋の中でアイスでも食べながら、読書をするのをおすすめします。
