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お笑いコンビ・ニューヨーク×街録chディレクター・三谷三四郎。YouTubeのリアル

さまざまな人の人生を街角でインタビューするYouTube『街録ch〜あなたの人生、教えて下さい』のディレクター三谷三四郎と、吉本興業の養成所にあったという謎の集団〈エレパレ〉の正体を追う青春ドキュメンタリー『ザ・エレクトリカルパレーズ』を撮って、自身のYouTubeチャンネルで公開し話題となったお笑いコンビ・ニューヨーク。2組が語り合う、YouTubeの「リアル」とは。

Photo: Ko Tsuchiya / Text: Izumi Karashima

屋敷裕政

僕、芸人になる前、テレビ制作会社のADをやってたんですよ。1年だけですけど。働き方改革導入前のADだったんで、三谷さんもそうじゃないですか。ディレクターになるには過酷な現場を経て。三谷さんは今、自分の城を持ってて。そういうのも込みで『街録ch』にグッとくるんです。

三谷三四郎

うれしいっす。『街録』を始めた頃、テレビ業界から若干冷ややかな目を向けられていたというか。ニューヨークさんが芸人さんでいちばん最初だったんですよ、『街録』を話題にしてくれたのは。ありがたかったです。パロディまでやってくれて(笑)。

嶋佐和也

勝手にすみません、やらせてもらいました(笑)。

屋敷

芸人はね、みんな『情熱大陸』と『街録』は、もし自分が出たらどうなるかを心の中でシミュレーションしてるんですよ。どう振る舞って、何を話すやろって。

三谷

芸人さんの話を取材することが多くて、経済事情とかプライベートのこととか、結構気やすく聞いちゃってるなって、たまに反省したりするんですよ。

屋敷

でも、それがいいんです。いい意味でガサツなのがいいとみんな思ってて。取り繕ってない素の感じがリアルでいいなって。

嶋佐

元Bコースの歩子さんの回、良かったもんなあ。Bコース解散の真相とか知らなかったし。TKOの木本(武宏)さんの回も、木下(隆行)さんに対する思いが伝わって。コンビのリアルだなって。

屋敷

『街録』は香ばしい人もどんどん出てくるじゃないですか。「所沢のタイソン」とかスレスレ系の(笑)。最近出会ったこれはヤバい!って人はいます?

三谷

何日か前、「ある人に家族全員洗脳されて4億の負債を背負わされた一家の娘です」って人から連絡が来て。取材日を決めてたんですけど、「今は幸せに暮らしてるので、やっぱり顔出しでしゃべれません」と。そういうことはよくあることなんですけど。

屋敷

なんで出たいんですかね。

三谷

有名になりたいとかはまったくないと思うんです。話を聞いてもらいたくて、なんですよね。そんな大変な目に遭ったのに頑張って生きてきたね、ってそう言ってもらいたいんだろうなって。SNSのアカウントすら持ってない人が応募してきますからね。

屋敷

誰にも知られんと死ぬのがいややってことなんでしょうね。

嶋佐

僕は、強く印象に残ったといえば、やっぱ林眞須美死刑囚の息子さんの回。あれはすごかった。

三谷

僕もそんな話を聞く人生になるなんて自分でもビックリで。

屋敷

僕はタクシー運転手を誘惑しちゃうセクシー女優さんっすね。

三谷

丹波すみれさん。

屋敷

そうそうそう。『街録』を観た後、彼女のAVを観るとより興奮できるという(笑)。立体感が増すんですよ。オススメ。

一同

アハハハハ!

お笑い芸人・ニューヨークとテレビディレクター・三谷三四
(左)嶋佐和也(中)屋敷裕政(右)三谷三四郎

みんなのなかに
それぞれのエレパレがある。

屋敷

やっぱYouTubeだからこそ、リアルなもんが引き出しやすいというのはありますよね。

三谷

忖度しなくていいというのが大きいです。

例えば、花田優一さんから出たいと言われたとき、撮影当日、貴乃花さんとモメだしたんです。出る出ないで。テレビだとそれでもうアウトになるけれど、僕は貴乃花側に忖度する必要もないし、フットワークが軽いというのがいいところっすね。過剰な演出やオチもつけたりしませんし。

ニューヨークさんが『ニューヨークOfficial Channel』でやってる「ニューラジオ」もそうですよね。10月の『キングオブコント』直後の配信はシビれました。
ふがいない結果に終わってしまったことに対してすごくリアルな感想をしゃべってて。あれはやっぱ『オールナイトニッポン0(ZERO)』では絶対に出せないトーンだと思うんです。YouTubeだからこそ。

屋敷

確かに。ブースに入って、ミキサーとかある中でしゃべるのと違うかもしれないですね。

三谷

あ、本当のことを言ってるなっていうのがものすごく伝わってきて。ああいった葛藤が観られる、しかもいま階段を上ってる最中の芸人さんのそれが観られるって、なかなかないですもん。

それとやっぱり、ニューヨークさんの『ザ・エレクトリカルパレーズ』。これもテレビだと絶対に通らない企画で。僕、面白すぎて3周しちゃいましたもん。

屋敷

あれは養成所の話なんで、オレらにはおもろいし、リアルなんやけど、一般の人はどう感じるのかなって。ここまでウケるとは想像してなかったんですよ。

嶋佐

結局、人間関係ってどこも同じなんだなって。

屋敷

そう。集団になったときに起こる「あるある」がね。1軍のキラキラしたやつがおって、それをひがむやつがおって、っていう。みんなのなかにそれぞれの〈エレパレ〉があったんや、と。

三谷

あれを観て学生時代の居酒屋のバイトを思い出しましたもん。モテる1軍の女性がホールをやってて、その人は手当たり次第、店長とかスタッフとかとキスしてて。それをまた写真に撮るバイトがいる、っていう(笑)。

屋敷

そのバイト、めっちゃ地獄やないですか(笑)。