人の弱さや痛みを知る
寂しい「表情」が
心にそっと寄り添ってくれる
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やさしさと聞いて真っ先に思い浮かぶのは、少し寂しい表情の人。心の弱い面や痛みを知っていてこそ、誰かの心に寄り添えるのではないかと感じる。
ブルースを素地に持つ淡々としたメロディで展開するこの曲が表しているのもまさに、大切な人たちが離れていった喪失感であり、寂しさ。
“今夜程 淋しい夜はない”という直接的な表現がそれを象徴するだけでなく、後半の“子供達が駆けてく道を 何気なく振り返れば”のフレーズで、元気な子供たちと登場人物の沈みゆく心の対比が見事になされていて哀愁漂う情景が頭に浮かんでくるようだ。そして何より、浅川さんの得難いやさしい声が、心を静かに溶かしてくれる。
談・スカート澤部渡