生きづらさを抱える2人には
闇に包まれる静かな夜こそが
“シェルター”だった

最近、夜にやさしさを感じている。コロナ禍になってから、昼間は行動が制限されたり監視されたりするような窮屈さを感じるのだが、夜は心が和らぎ、居心地のよさを感じるのだ。そんな心境もあってか共感を覚えたのが本作。
描かれるのは、社会に居場所を見つけられなくなった25歳の青年と、とある理由で親から深夜2時から6時までは家を出るように言われている小学生。
年齢の離れた2人が出会い、河原で夜の静かな時間を共有し、距離感を探りつつ、少しずつ言葉を交わし近づいていく空気感がなんとも心地よい。生きづらさを感じる彼らにとってはきっと夜だけが、社会から身を隠してくれるシェルターなのだ。
棟方くんはじぶんが二十五歳でもなければ、
『しずけさ』より
椚くんは十一歳でもない、
そこにいるだけのふたりになれる奇特な夜だった。
談・ミヤギフトシ