もはや擬似姉妹の2人が綴る、
これからの“やさしい家族”
現在はアパートの隣同士の部屋を借りている阿佐ヶ谷姉妹だが、本作はまだ6畳1間で同居していた頃の日々を2人が交互に綴っている。布団を敷く向きなど生活のルールや、阿佐ヶ谷暮らしでの些細な喜びが書かれていて、思わずクスッとする(あのピンクの衣装はおしゃれ着洗いで部屋干ししているんだ、という発見も)。
擬似姉妹ともいえる2人だが、暮らしぶりや気遣いはまるで本当の家族のよう。そして「ひそかな夢は、今住んでいるアパートを姉妹で買い取って、母や独り者の友達とみんなで住むこと」というミホさんの言葉にも、夫婦や血縁関係だけに依存しない、これからの多様で自由な共同体の可能性が窺える。
文・綿貫大介