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おうちでも、お店でも。焼肉をもっと楽しむQ&A〜焼くとき編〜

すぐにでも焼いて食べたい!と、はやる気持ちを抑えつつ、「焼く前に知っておくといいこと」&「焼くときに気をつけるべきこと」を、〈ナスキロ〉オーナーシェフの高山いさ己さんとフードアクティビストの松浦達也さんに聞いてみました。焼く前編はこちら

illustration: Takahiro Shimada / styling: Miho Iguchi / photo: Shin-ichi Yokoyama / text: Haruka Koishihara

Q:網や鉄板の温度はどう確認する?

A:水分を落としてみて、音でチェック。

「手で触って確認しちゃいます」(高山)は、良い子は真似しない方がいい超上級技。手をかざす人が多いが、網の上空は熱くても、網はまだ冷たいこともある。

「ガスロースターの場合、水やつけダレを中央に垂らし、ジュッと音がすれば焼き始めてOKな温度です」(松浦)。炭火の焼き台の場合は中央の温度が最も高くなるため、真ん中でも端でもない中間帯に垂らして確認しよう。

Q:焼くときは、
肉を何度も触らない方がいいの?

A:大いに触って、動かしてよし!

2人が声を揃えて言うのが「触らなくちゃわからない!恐れず触って、動かしていいんです」。「特に厚切り肉は、ステーキのように何度もひっくり返して焼き上げます」(高山)。

厚くない肉は触るタイミングも悩むところだが「表面に肉汁が上がってきてから返す、では遅い。それよりも前に、トングでつまんで焼き面を見ましょう。加えて、火力もいじった方がいい。鉄板や網を温めるために初期設定は強火になっているので」(松浦)。中火を基本に、肉の厚みに合わせて調節すると失敗しづらい。

しまだたかひろ イラスト4

Q:にっくきくっつき問題、
どうすれば?

A:最初のひと手間で、ぐっと軽減

せっかくの肉が網や鉄板にくっついてしまうと、一気に気分が萎えるもの。できることなら全力で回避したいが、どうすれば?

「温度が低いとくっつきやすいので、まず網や鉄板の温度を十分に上げること。そのうえで、肉を置いたら一度すぐに持ち上げる!微量の脂分と水分が付着すると、その後くっつきにくくなります。」(松浦)

Q:ホルモンが噛み切れないのは
焼き方が悪い?

A:水分を飛ばす焼き方を!

ここでいうホルモンは「牛の腸(特に大腸、小腸)」。「呑み込むタイミングがわからない」という声が多数だ。「カリッと焼けば回避できるので、炭火で水分を抜いて焼くのがベスト」(松浦)。「ガスロースターで“カリッと”は至難の業。味噌ダレで香りをまとわせつつ“プリッと”を目指す手も」(高山)

しまだたかひろ イラスト2

Q:ネギがのっている肉の焼き方は?

A:「ネギ上」「ネギ下」どっちも正解!

ネギダレがびっしりのった「ねぎタン塩」は、ネギを上にして焼くのが常識。と思いきや「タンが熱源に直接当たらず軟らかく仕上がるし、ネギの香りが肉につくのでネギを下に。多少落ちてもOK」(高山)。一方、落としたくない派の松浦さんは「ネギを内側にして折り畳むと蒸されてしっとり。片面焼きで」(松浦)。

Q:レモンはいつ使うのが正解?

A:後でかける&皮を下に搾って爽やかさアップ。

塩味の肉によく添えられているカットレモン。焼き上がった肉に搾る人が多いが、これで合ってます?「後で、が正解!焼く前の肉にかけると、焼いた際の熱で香りが全部飛んでしまうので意味がなくなってしまいます」(高山)。「かけるなら後。でも、必ずかけるべきというものでもないかな」(松浦)。

ちなみに「皮を下側にして搾ると、皮に含まれる香り成分が果汁に移って、風味がより良くなります」(高山)。これは即試したい!

しまだたかひろ イラスト

Q:厚切り肉を焼くコツは?

A:根気強く焼き、肉を寝かす!

この問いに関しては2人の回答がほぼ一致。「厚切りの肉は、ガスロースターなら真ん中のゾーンで何度も返してじっくり焼きますね」(高山)。「何度もひっくり返すパターンのほか、両面に焼き目がつくまで焼いたらいったん皿に取って休ませて、もう一度網でバリッと仕上げるパターンも」(松浦)。

また、片面に切り目が入れられている場合には「最初にその面を下にし、表面にがっちり焼き色をつけて肉汁漏れを抑えつつ、香ばしさを際立たせるのがポイントです」(松浦)とも。ありがちな失敗は「表面は焼けているのに中はまだ生」。途中、低温エリアに移して芯まで熱を入れるようにじんわりと温めるのも有効。とにかく焦らずじっくり、が成功への鍵だ。

しまだたかひろ イラスト5

Q:網&鉄板のゾーニングを極めたい!

A:エリアによる温度の高低を見極めるべし。

ガスロースターの多くは、長方形型の鉄板の長辺部分下にガスの火が走っている。よって、この真上が最も高温。そして中央部分は中温、両サイドが低温になる。炭火の焼き台の場合には、網の中央部分が最も高温で、外側に行くにつれ中温→低温に。

このゾーニングを把握すれば、肉の特性と形状に合わせて、高温エリアで焼き目をつけてから低温エリアで休ませる、中温エリアで時間をかけて中まで火を入れる、など自由自在に。

しまだたかひろ イラスト
ガス(左)は赤ゾーン、上下の部分にガスが通っていることが多く、温度が高くなる。炭火(右)の場合は炭を盛った中央が高温に。

Q:赤身肉とサシ入りの肉、
焼き方は変えるべき?

A:それぞれの特性をイメージして焼き分けを。

肉を「赤身」と「白身」に大別して考えている、という高山さん。「サシ(脂)が入っている肉は白身、と考えて、焼き色をつけずに脂を弛緩させて焼くようにしています」。高山理論にのっとれば、カルビも「白身」。そして「赤身」は「“血液の香り”を食べる部位」、「白身」は「“脂の香り”を食べる部位」とも。

なるほど、香りを意識すると焼き方や食べ方が変わりそう。「赤身はドMなので、強火という名の“筋トレ”で鍛えてから弛緩させるイメージで。白身は、打たれ弱い温室育ちタイプなので、ひたすら優しく扱ってあげて」(高山)

赤=強火でいじめる!
ヒレ、モモ、ハラミ、レバー、ハツなど

白=中火でじっくり!
タン、カルビ、ミスジ、サーロインなど