京洛焼肉 ぽめ(長堀橋)
大阪で焼肉といえば、鶴橋のイメージが強いが「観光客向けのお店が増えたこともあり、大阪の焼肉好きはだいぶ前から“じゃないエリア”を目指すように。予約が取りづらい店がどんどん出てきて、大阪焼肉は新たなフェーズに突入した感がある」と語るのは、週3で焼肉店に通う医師の滝内ヒロフミさん。
新フェーズを体験しようと、いま大阪一予約が取れないという声も多い〈京洛焼肉 ぽめ〉へ。
飲食店が軒を連ねる長堀橋の一角にオープンしたのは昨年のこと。店内の黒板に目をやると、純血統未経産長期肥育の但馬牛をはじめ、未真空で仕入れる神谷ブランドのホルモンといった超稀少肉がずらり。お客がオーダーストップをかけるまで無制限に肉を供するスタイルで、厨房では、店主の魚住洸太さんが真剣な面持ちで肉をカットしている。
「独学で肉の扱いを勉強した」と話す魚住さんは、“焼肉を学ぶのではなく牛を学ぶ”という姿勢で生産者のもとに出向き親交を深め、入手困難な肉を卸してもらえるようになった。
“肉は鮮度”という思いのもと、未真空状態で仕入れるタンはやや厚切りにすることで焼いたときの歯切れの良さや旨味の余韻が感じられるように。但馬牛の脂の甘味と赤身の濃厚なコクを生かすよう、ヒウチはやや薄めにカットするなど、部位の個性を引き出す技も圧巻で、食い倒れ必至。
上田商店(針中野)
そして、大阪で予約困難な個性派店といえば忘れてはいけないのが、東住吉の〈上田商店〉だ。浪速のエレジーを感じさせる商店街のはずれに佇み、焼肉店のはずなのに、入口でウミガメの剥製がお出迎え。
店主の上田進太郎さんは、兵庫・丹波篠山で食べた能勢町産のイノシシに衝撃を受け、ジビエをメインで出す焼肉店をオープン。罠獲りをしたイノシシやシカのほか、季節によっては熊肉が登場することも。
煙回避のために上田さんがゴーグルをしながら肉を焼く風景も味の一つで、終盤に登場する牛ハラミの一本焼きやカルビも美味。血湧き、心躍る肉のフルコースを¥1,5000(時間無制限の飲み放題付き!)で堪能できるとは、ここは肉の竜宮城か。
大阪の“じゃないエリア”の焼肉店、一度行ったら確実にクセになる!
まだまだあります、大阪の名店
焼肉ホルモン かつらぎ(大阪/堺市)
魔性の国産和牛ハラミは、62年の歴史の賜物。
正肉だけでなくハラミ、タンほかホルモンもすべて国産和牛。その“夢の特例”が実現するのは「創業1959年。祖父以来の卸商との付き合いによるもの」と3代目店主・國重裕章さん。
中でも特筆すべきは見事なアズキ色のハラミ。噛むごとに口の中で爆ぜる旨味は深く長く続き、脳裏に“幸福”の文字が焼きつく。創業時から変わらぬ風味濃厚なタレも、全国に熱狂的なファンを持つレジェンド・コンテンツ。
焼肉 㐂舌(大阪/心斎橋)
タンは3週間熟成。新境地の妖艶な味に悶絶。
肉の熟成に、さらなる新境地が出現。最新技術「遠赤外線・無菌熟成庫」により、さらにピュア&クリーンに旨味を増した肉の数々。
中でも圧巻なのがタン。3週間熟成(新機材の効果で、従来の4週間分熟成)で、しっとりと官能的な歯切れと、まるで極上のフィレ肉並みの旨味の爆発感は、異次元の知覚体験。フレンチ出身のオーナーの繊細な盛り付けもコースの隅々にまで冴え、予約争奪の激しさは日々、右肩上がりに。
りきちゃん(大阪/蛍池)
肉はフィレのみ!一本勝負で全国制覇。
メニューにはハラミもカルビもなし。フィレ、およびその特上部位のシャトーブリアンのみの潔さ。その悟り(?)の境地へと至ったのは「大手精肉卸商の家に生まれ、幼少時から毎日肉。最終的に最上と確信した部位がフィレだったので」と主人・瀧孝史さん。
30ヵ月以上肥育、低融点油脂の雌牛を徹底し、牛20頭分をチェックして全返品の日も、という鬼の目利きを経たフィレ。既にリピーターは日本、および海外に多数。