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コツコツ貯めるの何のため?兵庫県〈世界の貯金箱博物館〉で各国の貯金箱事情を知る

日本だけでなく、欧米、アジア、中東など、世界62ヵ国、1万3000点に及ぶ貯金箱を収蔵する日本初の貯金箱博物館〈尼崎信用金庫 世界の貯金箱博物館〉。ここで各国の貯金箱事情を聞くうちに、それぞれのお金への考え方が見えてきた。

photo: Junzo Hongo / text: Shogo Kawabata

貯金箱アラウンド・ザ・ワールド!

ヨーロッパでの貯金箱の始まりは、教会に設置された献金用の箱だった。個人の貯金箱も、教会へ持っていく寄付金を入れておく箱としての使われ方が多かったそう。そのため、必要に応じて開けられ、再利用できる鍵付きのものが主流だった。対して、日本の貯金箱は、小銭をコツコツ時間をかけて貯めておくための器だったため、満杯にしてから割って取り出すタイプが多い。

また、穴の開け方にもお国柄が出る。外国のものは、人物や動物モチーフの貯金箱でも、頭頂部にぱっくりとコイン用の穴を開けているものが圧倒的に多い。投入のしやすさでいえば、最も機能的な場所だからだ。しかし、日本では頭に穴を開けることに抵抗があり、背中や肩口に穴が開けられることが多くなっている。

不思議と世界共通なこともある。貯金箱のモチーフというと「豚」がとてもメジャーだが、これは世界中多くの国でも同じ。子だくさんなうえに、肉や皮、毛に至るまで捨てるところのない有用な動物であることから、世界的に縁起の良い動物とされているためだ。

また、聖アントニウスが貧しい人々のために、村人から寄付を募り、豚を買い与えた、という「アントニウスの豚」という聖人のエピソードに由来するという説もある。鶏も卵を産む有用な動物として、豚と並ぶ人気モチーフのツートップとなっている。
ちなみに、日本、ドイツ、スイスは比較的貯金箱の種類が多いそう。蓄財が好きな国民性を反映しているのだろう。