2023年の勝者、クリストフ・ルメール騎手に聞く、ジャパンカップとは
2023年11月26日、東京競馬場。単勝1.3倍の圧倒的1番人気に推されたイクイノックスが、後続を置き去りにしてゴール板を駆け抜ける。勝ちタイムは、2分21秒8。のちにこの第43回ジャパンカップが、日本競馬史上初めて、世界のベストレースに選ばれた。
「世界に通用する強い馬作り」を目指して、国際招待レースであるジャパンカップ(JC)が創設されたのは1981年のこと。以来、国内外のスターホースが名勝負を繰り広げてきた。中でも特筆すべきが先述の一戦だ。世界の主要レースを対象としたランキングで優勝馬イクイノックスが「2023ロンジンワールドベストレースホース」を、JCが「同ベストレース」を受賞。同馬に騎乗したクリストフ・ルメール騎手は話す。
「国内外から選りすぐりの馬が集まるJCは騎手にとっても、競馬ファンにとっても特別な一戦です。ベストレースの受賞は、日本競馬が世界トップクラスであることを意味します。レース前、すでにイクイノックスのレーティングが高く、期待していただけに嬉しいですね」
これまでJCで、武豊騎手に並ぶ最多4勝を数えるルメール騎手。大勢の観客が見守るスタンド前からのスタートや序盤の激しいポジション争い、約500m続く最後の直線など、東京競馬場芝2400mのレースにはスピードとスタミナが求められる。その両方を兼ね備えていたのがイクイノックスと、2018年・20年に自身の騎乗で2度JC優勝を果たしたアーモンドアイだと教えてくれた。
「2頭とも正真正銘のスーパーホース!馬体のバランスがよく総合力の高いイクイノックスに対して、アーモンドアイは肩周りや後肢の筋肉が発達したパワフルなタイプ。賢く、競馬センスがあるという点ではよく似ていたと思います」
今年は11月24日に開催されるJC。
「JCのような大きなレースの興奮は、リアルに体験すればわかります。日本の競馬はハイクオリティでファンサービスも充実しているので、ぜひ競馬場で体験してほしいですね」
中村蒼さんが、多彩な楽しみ方ができる東京競馬場へ
ジャパンカップが開催される東京競馬場では、レース以外にも楽しめる様々なアトラクション、イベントやサービスを用意している。前述の〈JRA競馬博物館〉をはじめ、〈乗馬センター〉や日本庭園、ローズガーデン、公園、キッズエリアなどを完備。競馬開催日には、体験乗馬や馬車の運行など馬と触れ合えるイベントも、数多く実施される。
そんな魅力を体感しに、東京競馬場を訪れたのが俳優の中村蒼さんだ。2021年に放映されたNHK土曜ドラマ『風の向こうへ駆け抜けろ』で、調教師役を好演。元ジョッキーの役柄だったため、“モンキー乗り”という騎手特有の乗り方を、乗馬センターに通って習得した。
「乗馬経験はあったものの、さすがにモンキー乗りは初めてでした。腰を浮かせた前傾姿勢で騎乗するため、内ももに力を入れて下半身を固定するのですが、毎回、筋肉痛がひどくて……。ジョッキーの皆さんの大変さを思い知りました」
今回、久々に東京競馬場の乗馬センターで馬にまたがった中村さん。
「馬の背中から見る景色のよさは、やっぱり格別ですね。馬との触れ合いは心身の健康にいいと思っています。会うだけで癒やされる、不思議な力がある」
去る7月には、福島競馬場で七夕賞(GⅢ)のプレゼンターを務めた。当日は馬券も購入して競馬を楽しんだという。
「単勝、3連単、フォーメーションといろいろ買ってみたけれど、そんなに甘くはありませんでした(笑)。ただ馬券は当たらなくても、競馬場グルメも満喫して、一日たっぷり遊べました」
ドラマの撮影でも訪れたという、東京競馬場のスタンドから久々に見る景色。
「空が広く、緑も美しい。本当に開放的ですね。馬が直線を走る音や人々の歓声、熱気など、ここに来なければできない体験がある。僕自身は調教師という役を通じて、乗馬の感覚や、関係者の方々の思いや大変さを知り、競馬を多面的に見られるようになったと感じています。いろいろな人の思いを乗せて走るサラブレッドたち。その勇姿を見に、今度は家族を連れて遊びに来たいですね」
今年もいよいよ始まった秋競馬。次はどんなドラマが生まれるか、ぜひ自分の目で確かめたい。