古代の人々は、天体観測から目には見えない時の流れを数値化した。地球の公転周期から1年を、自転周期から1日を導き出したのだ。月の朔望も、多くの地域で暦の一つの基準であった。
そんな時の長さの原点である宇宙の神秘を、「カンパノラ」は文字盤(ダイヤル)で表現してきた。デザインコンセプトは“宙空(ちゅうくう)の美”。ドーム状のサファイアガラスは、無限の宇宙の広がりを想起させる。
その内部では、コンケーブ状のアワーサークルとビスで持ち上げられた秒・分インデックスリングが、さまざまな時の単位を示す針やインデックスを取り囲む奥行き感と立体感とで、深遠な宇宙空間を表している。さらにこれら2本の新作は、「宙顕」は宇宙、「星顕」は星が誕生した瞬間をダイヤルにとどめた。人の目が届かないはるか天空で繰り広げられたドラマは、漆職人の手業で美しく視覚化された。
「宙顕」は、黒漆の螺鈿(らでん)細工に赤色を重ねて研ぎ出し、ガス状星雲の色彩を表した。
宙顕(そらのあらわれ)
「星顕」は、黒漆とグリーンが交じり合う中にちりばめた螺鈿や金属粉末が、星雲の彼方の生まれたばかりの星の数々を写し取る。
星顕(ほしのあらわれ)
さらに「宙顕」はクロノグラフと永久カレンダー、「星顕」はコンプリートカレンダー搭載と、機構も凝る。「星顕」の秒・分リングの下にはソーラーセルが潜み、太陽から届く光で力を得て時を刻む。