中山市朗、宇津呂鹿太郎ら怪談師が告白する、本当に怖い怪談
土着的な呪いが100年以上前から現在も続いているのが怖い
「生首村」
語り手:ガリガリガリクソン/YouTubeで視聴可能
知人の村の風習を調べてみると、恐ろしい因習が残っていた。
「本家の養子になって跡を継ぐため、故郷へ戻った男。霊現象が頻発したことから調査すると、本家には呪いがかけられ、呪詛返しとして周辺には生首が埋まっているという。日本の寒村にある閉ざされた呪いが、100年以上経った今でも続いているという現実に、身震いがする。本家には、あのコトリバコがあるという話も。」(中山市朗)
ほんの軽い気持ちで探り始め、思わず浸ってしまった禁忌が怖い
「獄の墓」
著:西浦和也/2021年
『西浦和也選集 獄の墓』収録/学園祭で披露する怪談を探す中で、忌地へ足を踏み入れてしまう。長年語り継がれる実話怪談の名作。
「ある忌み地周辺の古地図にあった、意味深げな旧跡。軽い気持ちで手を出したばかりに、家族をも巻き込む惨事を体験することになる。獄の墓の3文字を見つけてしまったことで、凄絶なる怪異に見舞われ、とにかく恐ろしい。最終的に一人の男の命を奪った「獄の墓」は、今現在も都会のビル群の中にあり、いまだ更地である。」(ファンキー中村)
絶対に逃れられない電話が怖い
「・・・からの電話」
著:稲川淳二/2018年
『稲川淳二の怖い話 3巻』収録/大学の同級生3人のうち、謎の電話後に2人が怪死。ある日、残された1人の電話も鳴り始める。
「突然、受けた電話から「あなたキュルキュルでしょ?」と、意味不明な言葉が流れてくる。何を言われているのかわからないので電話を切ると、不幸が訪れ死んでしまう。電話で一方的に呪いの言葉を吐かれるという、悪意しかない不条理さ、通り魔的な攻撃性に抗(あらが)う術(すべ)はなく、話を聞かされている側には、やり場のない恐怖しか残らない。」(インディ)
起きる出来事のすべてがあまりに不条理で怖い
「茶碗の中」
著:小泉八雲/1902年
『骨董』収録/話は結末を迎えず、いきなり終了する恐怖を煽る構成。宇津呂氏は映画『怪談』(1965年)第4話となる同話も推薦。
「怪異にも理由があるはず。しかしこの物語では、それが一切示されず、あるのはただ不可解な結果のみ。とにかく、あまりに不条理、そこが怖い。この不条理が、実は私たちの日常のあちこちに潜んでいるとしたら、この世界は曖昧模糊とした不安定なものになってしまいます。日々の安心が消え去ることほど恐ろしいことはないでしょう。」(宇津呂鹿太郎)