ベランダ菜園は、適切なプランターのサイズ、形を選ぶのがポイント。トマト、キュウリ、ナスといった丈が大きく育つものには、容量が25〜30L以上で、深さ30cm以上の大型プランターを。
一方、小松菜などの葉ものなら、横幅15cmで深さ20cm程度のサイズで十分。ベランダの方角によっては日当たりが限定的になるだけでなく、高さのあるマンションは風の影響にも気をつけたい。特に10階以上は風がかなり吹くので、背丈のある作物はしっかり支柱に固定しよう。
ミニトマト
植え付け:4月下旬〜5月中旬
収穫:6月下旬〜8月下旬
花が少しずつ咲き始めたら、筆先でやさしく人工授粉を
(1)苗を購入する時は開花しているかが決め手。房状になったつぼみの中で、1〜2輪くらい花が咲いているものを選ぶとよい。プランターは直径30×深さ30cmのものに1株ずつ植え付ける。
(2)プランターの中央に高さ1.8mの支柱を立て、枝を固定。茎の途中に出てくる脇芽はこまめに手で摘み取り、主枝1本をキープ。
(3)咲いた花が2〜3輪になったら、中心を筆の先でやさしく撫でて人工授粉。支柱の高さを越えるほどに枝が伸びたら、先端を切って草丈の生長を止める。
(4)水やりは毎日、プランターから水が流れる程度。肥料は2週間おきに化成肥料を10gずつ加える。
(5)花が咲いて35〜40日経った頃から実がなり始める。熟すスピードが速い。放っておくと傷んでしまったり、鳥についばまれたりするので、色づいたものから順番に収穫。
バジル
種蒔き:5月上旬〜7月上旬
植え付け:5月中旬〜7月中旬
収穫:6月中旬〜9月下旬
花芽を早めにカットすれば、3ヵ月以上収穫可能
(1)種からも栽培可能だが、初心者は苗からがおすすめ。直径30×深さ30cm以上のプランターに、10cm以上の間隔を空けて3株を植え付ける。
(2)水やりは毎日たっぷりと。天気が良い夏の日は、朝晩の1日2回、水をあげてもいい。肥料は植え付けの2週間後から。2週間に1度のペースで化成肥料を10gずつ加える。
(3)高さが20cm以上に育ったら、茎の先端をハサミでカット、脇芽を生長させる。
(4)ハダニ、アブラムシなどの害虫が発生しやすいので、自然農薬《粘着くん液剤》を葉の裏に噴霧して対処を。
(5)収穫は、葉が柔らかいうちに一枚ずつ。脇芽を伸ばせば、繰り返し何度でも収穫することができる。いったん花が咲くと葉が硬くなり、生長も滞ってしまう。花芽はこまめに摘み取ることで、長期にわたる収穫を目指そう。
ミニキュウリ
植え付け:4月下旬〜5月中旬
収穫:6月上旬〜8月中旬
三角錐形の支柱に沿わせるように巻きひげの生長を促す
(1)苗は、本葉が3〜4枚ついたしっかりとしたものを選び、直径30×深さ30cm程度のプランターに1株ずつ植え付ける。支柱は1.8mほど、3本の柱が頂点で交差する「三角錐形」にして、上部から紐でつるを固定すると、生長に合わせて巻きひげが自然に支柱に絡む。
(2)カビが原因のべと病やうどんこ病になりやすいので、《サンボルドー》《カリグリーン》などの自然成分使用の殺菌剤で対処。下の方の脇芽は摘み取り、6節目以上を育てるようにして、支柱の高さまで育ったら先端をカット。
(3)水やりは毎日、プランターから水が流れる程度。植え付けの2週間後に化成肥料を10g。その後2週間おきに10gずつ加える。
(4)実が10cm程度の大きさに育ったら収穫時期。最初の実は5〜6cm程度のうちに切り取っておくと、残りの果実が大きく育つ。
小松菜
種蒔き:3月中旬〜10月中旬
収穫:4月下旬〜12月下旬
積極的&こまめに間引いて、株を元気に、大きく育てる
(1)横幅65×奥行き20×深さ20cm程度のプランターに、列間10〜15cmで2列、1cm間隔で種を蒔(ま)く。
(2)双葉が開いたら3〜4cm間隔で間引く。また、弱々しい株や形の悪い株は見つけ次第、そのたびに除去しておく。小松菜は発芽率が高いので、この間引きを怠ると一株一株が大きく育たない。害虫がつきやすいので、種蒔き直後から防虫ネットで対策をし、無農薬で育てよう。
(3)土の表面が乾いたら、プランターから水が流れ出る程度に水やりを。ただし、水をやりすぎると根腐れの原因になるので注意したい。また、本葉が4枚揃ったら、化成肥料を株の周辺に10g程度追加する。
(4)草丈が20〜25cmほどに育ったら収穫時期。地表ぎりぎりのところをハサミで切り取ってもいいし、根ごと抜き取って土を洗い落としても構わない。
薬味は買わずに育てて使う
料理の途中で、これが欲しい!と思った時にも、ハサミを持って窓を開けるだけ。すぐに収穫できるのが、ベランダ菜園のいいところ。そこで、あると嬉しいのが、薬味になる和製ハーブ類。少量を使うだけなので、買ってくるより便利で、なにより新鮮。収穫して冷凍しておけばいつでも使え、ふだんの料理をより深い味わいに仕上げてくれる。