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“ニューキュビズム”シリーズで話題の塚本暁宣の新作個展。現代のキュビズムはどこへ行く?

キュビズム的な世界観にポップなカートゥーンキャラクターをサンプリングしたペインティングで注目の塚本暁宣。個展を開催する〈VOID〉のディレクター・小田島等は作品をどう見ているのか。

Text &Edit: Asuka Ochi

塚本暁宣 

〈VOID〉のインスタをNYから見ていて、現代美術の王道でなく、アンダーグラウンドな漫画やイラストレーションの展示をしているのがいいなと思ったんです。僕の絵は堂々と表舞台で発表するより、隠れて楽しくやっているような雰囲気を持ったギャラリーが合っているんです。

小田島等

僕はイラストレーターのスージー甘金さんに師事していたから、サンプリングカルチャーやシミュレーションアートが大好きなんです。塚本くんの作品を見た時に、これは隔世遺伝的にすごい作家が現れたなと驚いた。この前さ、重要な儀式だと思って、3人でケニー・シャーフ展に行ったよね。超メモリアルだった。

塚本

前々からサンプリング的な作品は作っていたんですが、ケニーやNYのポップアートにすごく影響を受けて、いまの画風になったところはありますね。ただ、手法や色使いには対抗したい部分があって、あえてアウトラインを描かなかったり、見る人が考察できる余地を残しています。

小田島

古典絵画から構図を引用してると言ってたし、ポップアート的な文脈だけやりたいわけではなく、美術史を「ポップ」に解き明かしている。

塚本

そうですね。例えば、ピカソがレンブラントやルーベンスの絵を模写したのは、そこに何か普遍的なものがあったのかなと考えたり。サンプリングにしても、奇妙な組み合わせって狙ってできるものではなく、自分の意識外で偶然に重なって生まれてくる。そういうシュルレアリスム的な考え方も重要ですよね。

小田島

なるほど。キャラをただネタにするのではなく、かといって無意味な存在としても扱ってない。絶妙な関係性が絵の中で成立しているよね。