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“買う”以外の本の楽しみも提案する書店。青森〈八戸ブックセンター〉

もともと異業種で働いていたものの好きが高じて店を開いたり、心から本を愛してやまない書店員がジャンルに特化した選書で勝負する店を始めたり。ここ数年、個性溢れる町の本屋が増えてきた。なかなか見つけられない貴重な古書からリトルプレス、そして店主が偏愛してやまない良書まで。

Photo: Keisuke Fukamizu / Text: Keisuke Kagiwada

八戸ブックセンター(八戸/青森)

八戸ブックセンター〉は、全国的にも珍しい市営書店だ。読書好きな八戸市長が、本で街を盛り上げるべく進めている政策の一環として、2016年にオープンした。
「かんがえる」「よのなか」「いのり」……。海外文学、人文社会科学、自然科学、芸術などの難解そうな書籍が、手にとりやすい言葉でジャンル分けされているのが印象に残った。

その中に、八戸の名物にまつわる「横丁で一杯」「イカと海」といったジャンルまで紛れ込んでいるのが面白い。一方、雑誌や漫画といった街の本屋の売れ筋は、周辺地域にある民間書店の経営を圧迫しないためにあまり置いていない。この配慮も市営ならではといえる。

八戸出身の芥川賞作家・三浦哲郎が愛用した机のレプリカが置かれる「三浦哲郎文机」やハンモック席をはじめ、読書席が充実しているのも特徴の一つ。これらに座って、レジで買える青森産のリンゴを使用したジュースやサイダーを片手に、ゆったりと店の本を読みふける市民の姿もちらほら。

ほかにも、ギャラリーや登録すると執筆部屋として使える「カンヅメブース」といったものまで設けられており、“買う”以外にも本にまつわる体験をさまざまなかたちで味わうことができる。


ちなみに、レジにはワインも置かれている。お店の目と鼻の先にあるみろく横丁で飲み始める前に、ここで棚を眺めながら一杯、なんていう使い方も大歓迎だそう。

青森 八戸ブックセンター 店内
奥に見える2冊の本が“八”を形作るロゴはgroovisionsのデザイン。