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kw+hgアーキテクツが設計した〈武蔵野プレイス〉。快適に、他人同士が共存できる空間

公共施設がどこか偉そうで、近寄り難かったのはひと昔前の話。建築家のアイデアで、人が集う溜まり場のような空間が次々と生まれています。

Photo: Tetsuya Ito / Text: Yuka Uchida

武蔵野プレイス(武蔵野市)

設計:kw+hg architects

円形の窓が並ぶ、丸みを帯びた白い建物。JR武蔵境駅駅前の〈武蔵野プレイス〉は、図書館と市民活動の場を合わせた公共施設だ。設計したkw+hgアーキテクツの比嘉武彦は全世代、特に今まで公共がケアしづらかった中高生が集う場を目指したという。

「まずショッピングモールに行き、そこに来る中高生の生態を観察しました。すると、彼らには彼らの空間が必要だと気づいたんです」

〈武蔵野プレイス〉では地下のティーンズスタジオがそれに当たる。友人と宿題を広げる子も、お菓子を持ち込み、大声で話す子もいる。飲食も会話も許された図書館らしからぬ空間だが、その隣にはガラス扉で仕切られた図書コーナーが。ここに来て、目の端に本の気配を感じる。それが大事なのだ。

地下1階の図書室。四隅を曲面で仕上げ落ち着ける空間に。

「今までの公共施設はコミュニティをつくろうとしすぎていた。僕らが目指すのは、分離しつつ、つながる可能性がある空間。快適に、他人同士でいられる場なんです」

青少年は青少年の、幼児は幼児のスペースを設け、それらを「ルーム」と名づけた空間で区切る。この「ルーム」は、部屋の四隅や開口が曲線で、優しく包まれているような感覚になる空間だ。

「幼い頃にシーツを被って遊んだ、あの包まれる感覚を取り入れました。ただ、ここでは他者と一緒にシーツを被ることになる。それでも快適な広さを導き、そのユニットの連続で建築を考えました」

2階の吹き抜けから、1階の雑誌コーナーと地下1階の図書室を眺める。「ルーム」の連続性が空間に安定したリズムをつくっている。
フォトジェニックな外観は、「ルーム」と名づけたユニットを連続させることで自然と現れたもの。広場の設計も比嘉らが手がけた。

比嘉の考えの軸には公共空間に用意された全体性への疑問がある。

「“みんな”という集まりに僕は入れないな、と。みんなで円をつくるような考えは、実は閉じられた公共性だと思うんです」

交わることを強いない公共空間では、誰もが伸びやかに過ごせる。やがてそれは、他人への寛容さにつながっていくのかもしれない。

正式名称は〈武蔵野市立 ひと・まち・情報創造館 武蔵野プレイス〉。2011年に完成して早6年。計画時は公共建築にいわゆるハコモノのイメージしかない住民らの反対もあったが、すっかり街のシンボルになった。