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郷愁を誘う、喫茶店の王道フード。東京の名物ナポリタン8選

喫茶店の王道フードといえば、ナポリタンを置いてほかになし。郷愁を誘う、ケチャップ味と少し軟らかい“スパゲティ”。各店の個性を食らえ。


初出:BRUTUS特別編集「喫茶店好き。」(2017年9月30日発売)

edit&text: Yoko Fujimori, Haruka Koishihara, Mutsumi Hidaka / text: Tomoko Imazaki, Rie Karasawa, Tomoko Matsumoto / photo: Kanako Nakamura, Yoichiro Kikuchi, Junichi Miyazaki, Kiyoko Eto, Shin-ichi Yokoyama, Naoki Honjo, Chihiro Oshima

純喫茶マリーナ(向島)

〈純喫茶マリーナ〉のナポリタン
ナポリタン/キャベツサラダ、スープ付き。麺は1.9㎜、350g。「どれだけ炒めるかで味の良しあしが決まる」と店主。

登場時のジュージューという音もごちそう

  • 熱々の鉄板にのって登場。時間が経ってもなかなか冷めず、焦げた部分もまた美味。
  • ケチャップのみで味つけする直球王道系。
  • 太めの麺を長めにゆでることで、鉄板に置いたとき、麺表面によく味が絡む。
  • 店主の手書きメニューの種類の多さは圧巻。

gion(阿佐ヶ谷)

〈gion〉のナポリタン
ナポリタン/麺は1.7mmを使用し、ゆで上がりは170g。グリーンサラダとマヨネーズ卵も添えられボリューム満点。

35年間アップデートし続ける独自の味

  • 40回以上レシピを見直した特製ソースには、ケチャップやキノコなど20種類の材料を使用。
  • それらを約7時間煮込んでから、さらに約3日寝かせて完成。麺のゆで時間は6分40秒。厳密。
  • 緻密なレシピに加え本物のブランコがぶら下がる内装にも店主・関口宗良さんのセンスが炸裂。

琵琶湖(梅屋敷)

〈琵琶湖〉のナポリタン
昔ながらのナポリタン/ミニサラダ付き。味の染みた挽き肉、厚切りタマネギの食感がインパクト大。記憶に残る味わい。麺は1.7mm、量は目分量。

挽き肉入り。料理自慢の看板に偽りなし!

  • 喫茶店ながら、食事メニューが50を超える店。
  • 中華鍋を使って、強い火力で一気に水分を飛ばし、麺に濃厚なケチャップを絡めていく。
  • 1日60〜70食は出るという、驚愕の人気っぷり。
  • 店のマダム、癒やし系の吉岡幸恵さんにおばあちゃんから子供まで3世代のファンが。

Printemps(五反田)

〈Printemps〉のナポリタン
ナポリタン/味噌汁付き。ランチ時は行列ができる人気。麺は1.9m、量は目分量。おそらく600gはあると思われる盛りのよさだが、ペロッと平らげる女性も多い。

泣く子も黙る、あっぱれのメガ盛り

  • 驚くほどの量は、店主のサービス精神の賜物。
  • 鉄鍋を長時間振って、高温でじっくり炒め、こってりとしたケチャップの甘味を引き出す。
  • あえてロースではなくプレスハムを使用。昔ながらの味わいに強いこだわりを持つ。
  • 麺とよく絡むとろとろの目玉焼きが癖になる。

イノダコーヒ 東京大丸支店(東京)

〈イノダコーヒー 東京大丸支店〉のナポリタン
イタリアン/麺は2.2mm、220g。関西では、「ナポリタン」でなく「イタリアン」の呼び名がスタンダード。店内には老舗の品格が漂う。

京都生まれの、はんなり上品系ナポリタン

  • ケチャップではなく、トマトソースを使用。軟らかく、まろやかな口あたりに仕上げる。
  • 特製ハムや極太麺など、厳選した食材の数々。
  • 本店は1940年創業。おもてなしの精神を継ぐ。
  • 銀の器で運び目の前で蓋を取ったり、エンブレム入りの食器を使うなど、心ときめく演出が。

La cour café(吉祥寺)

〈La cour café〉のナポリタン
ナポリタン/1.8mm麺を180g使用。パスタ類の値段はサラダとフランスパン込み。

今はなき名店の味、こちらで食べられます

  • かつて駅の南口にあった喫茶店〈STONE〉の姉妹店。そのナポリタンのレシピを引き継ぐ。
  • 炒めた具材を赤ワインでフランベ、自家製トマトソースとケチャップを混ぜるなどこだわりが。
  • 平日は常連さん多し。夜は女性の一人客の姿も。
  • 3種のブレンドコーヒーやケーキはオリジナル。

シェルブール(水天宮前)

〈シェルブール〉のナポリタン
ナポリタン/サラダと味噌汁付き。麺は1.5mm、量は目分量。小さいが著名人のファンも多い、知る人ぞ知る店。No.1ナポリタンと紹介されたことも。

傘店の店主が作る、具だくさんの優しい味

  • 階下の傘店は姉妹店。名映画の題名を店名に。
  • 人形町の有名精肉店〈日山〉のベーコンを使用。芝エビやシメジなど、豪華な具がうれしい。
  • 細麺を使用し“カフェ飯”のパスタに近い感覚。
  • キュートなマダムとシャイなお嫁さんが仲良くサービスを担当。店主との掛け合いも絶妙。

さぼうる2(神保町)

〈さぼうる2〉のナポリタン
ナポリタン/麺は1.5mm、目分量で約450g。11時半には行列が。〈さぼうる2〉から出前可の隣の〈さぼうる〉と合わせ1日200食出ることも。

多くの学生を見守ってきた古本屋街の名物

  • 香味野菜やトマトピューレを煮込んだ自家製のナポリソースが味の決め手に。
  • 細麺にマイルドなソースがほどよく絡む。
  • 店名には学生に「おおいにさぼって」ほしいという意味も。若者を支える店主の思いがこもる。
  • 昔ながらの製法の生ジュースにもファン多し。