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1996年に『東京ゲームショウ'96』として開催され、2023年で33回目を数える。開催から2日間はビジネスデイでゲーム業界、報道、流通関係者のみの公開。残り2日間は、一般公開日となっている。来場者はコスプレが認められており、仮装したファンで盛り上がりを見せる。2023年のキャッチフレーズは、「ゲームが動く、世界が変わる」。来場者数は約24万人を記録した。
2023年9月21日、4年ぶりの通常開催となった『東京ゲームショウ(TGS)』初日。会場の幕張メッセは、ゲートのオープンを待ちわびたゲーム業界関係者の熱と、どうやら故障?と思われる空調のおかげで、ただならぬ熱気を帯びていた。
ナビゲーターは、YouTubeチャンネル『ゲームさんぽ/よそ見』ディレクターの飯田直人さん。ブルータス編集部のスタッフとともに“TGS2023さんぽ”がスタートした。まずは、会場全体が見渡せる中央エスカレーターを下り、改めてこのイベントの規模を実感する。
「全館利用は4年ぶりですから、どのブースも活気がありますね」と話しながら早速動画用のカメラを回す飯田さん。お馴染みの大手ゲームメーカーのサインボードが次々に目に飛び込んできて気持ちが高まる。左回りに散歩しようと決め、早速サイバーパンク ライフシム『Nivalis』と『鉄拳8』の試遊を。
Cyberpunk Life Sim 『NIVALIS』
TEKKEN 8
Nivalisはサイバーパンクな世界での生活感をじっくり味わえるとあって、飯田さんも食い入るようにプレイ。何やら企画が思いついた様子?少し歩いて、新製品の《XREAL Air 2 Pro》を体験してみる。こちらは、手元のデバイスをARグラスに接続してそれを掛けることで、寝転びながらでも大画面映像を楽しめるゲーミングギア。
「グラスの重さを感じるものの、将来的に、ゲーム以外にも役立つシーンがありそうですね」と飯田さん。ひときわ賑やかな盛り上がりを見せていたのが、スクウェア・エニックスの『FF Ⅶ』の特設ブース。国内外のファンたちが我先にと試遊を楽しんでいた。
XREAL
SQUARE ENIX
ゲームを取り巻く環境の広さを知る
この日一番の行列は、中国・上海のゲームメーカーHoYoverse。新作の『ゼンレスゾーンゼロ』の試遊待ちと、『原神』のスタンプラリーなどの参加者でお祭り状態だ。それを横目に、韓国企業のアグレッシブな売り込みに飯田さんも思わずタジタジ。そんな彼が興味を示したのが、横須賀市ブース。eスポーツの聖地としてアピールするために初出展したという。
HoYoverse
KOREA PAVILION
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周りにも、仙台市や佐賀県など、地方自治体によるブースが目につく。改めて、ゲームを取り巻く環境は、実はとても広いことを実感したそう。相変わらずの暑さと格闘しながら、会場で配られていたエナドリを飲み干す。ランチタイムといきたいところだが、幕張メッセのレストランは大行列でどこも満員。気持ちを入れ替えてインディーゲームの販売会社PLAYISMのブースへ。ここでは、飯田さんが注目していた『カニノケンカ・二』の試遊がある。
「今日はこれを試遊しに来たと言っても過言ではありません」と飯田さん。試遊に満足しブラブラ歩き回っていると、ほかのブースと毛色の違う場所を発見。空港のラウンジ的な雰囲気を醸し出している。尋ねてみると、Xsollaという、世界中でゲームを販売するための金融債務業務を代行する企業だという。いわゆるBtoBサービスを提供するブースもあるのには驚いた。
YOKOSUKA CITY
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PLAYISM
TGSはビジネスの場でもあるということ。そして日本の未来のゲーム文化を担っている、「日本ゲーム大賞U18部門」のコーナーにも目を惹かれた。18歳以下のクリエイターが作った作品が展示され試遊できる。世界観がはっきりしているものや独創的なキャラ設定など、注目すべきところは多い。
別会場にて開催され、文化祭的に盛り上がっているのが、インディーゲームエリア。中でもアメリカから来日した2人組のクリエイターには話しかけずにいられなかった。ハンバーガーを主役にした『BURGER IMPACT:SOLAR STRIKE』を売り込んでおり、突拍子もないゲーム性に惹かれ飯田さんもプレイ。「よくわかんないですけど、勢いだけはすごい。昨日の夜にホテルでボス戦を仕上げたそうです(笑)」
U-18 JAPAN GAME AWARDS
INDIE GAME AREA
そして意外にもこぢんまりとした印象だったのが、VRコーナー。
「発展途上の分野ですが、VR技術に特化した大作が制作されたら、さらに面白いものになるでしょうね」と飯田さんは、VRの進化にも期待を寄せる。一同は体力が持つ限りの取材を終え出口へ。帰り際に改めて会場を見渡すと、ゲーム市場のパワーをまざまざと感じた。
VR AREA
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「今年は、4年ぶりの通常開催でしたが、やっぱりここの熱量は半端ないですね。ゲーム業界は、将来性も伸び代も勢いもある分野なので、関わる人々の熱気がダイレクトに伝わってきました。外国人の数も多くて、改めてゲームのワールドワイドなエンタメ性の高さを感じましたね」と総括する飯田さん。
TGSさんぽでテンションの上がった彼は、ほとぼりを冷ますために帰路で濃厚なラーメンを一人すすったという。お疲れ様でした!

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