カツサンドを愛するあの人へ
約100年親しまれる銀座の名作手みやげ
〈銀座梅林〉の元祖「ヒレカツサンド」
長きにわたり愛される銀座の名店〈銀座梅林〉。銀座で初めてのとんかつ専門店として昭和2(1927)年に創業。7丁目の「銀座梅林ビル」に国籍豊かな人々が行列をつくるのはもはやお馴染みの光景だ。
初代の澁谷信勝さんは、ヒレカツを食べやすい小ぶりなサイズにした「ひと口カツ」や、元薬剤師だったという知識を活かし、リンゴや玉ねぎなどでとろみを出したとんかつ専用の中濃ソース=とんかつソースを考案するなど、その独創性と探究心で「梅林のとんかつ」である味わいを構築した人物。オリジナルのソースのほかにも、豚肉は鹿児島の黒豚をはじめ国産豚肉を厳選し、美しい“剣立ち”を生むパン粉、さらに揚げ油には綿実油をベースにしたオリジナルのブレンド油を使用するなど、隅々まで行き届いたこだわりと心配りが約100年変わらぬ人気を支えている。
そして、銀座の手みやげの代名詞となっているのが元祖「ヒレカツサンド」。初登場はなんと昭和5(1930)年ごろ。お客さんのリクエストから誕生したそうで、今も銀座本店で注文を受けるごとに手作りされている。
サンドに使う食パンは工場から届いた直後は焼きたてでとても柔らかく、そのまま揚げたてのカツにソースを絡めて挟むとパンが潰れてしまうため、あえてパンを1日寝かせ、カツは揚げたてをバットで冷ましてからソースを絡めている。だからこそ、あのふわっ&しっとりな、ヒレカツとパンのみごとな一体感が生まれるのだ。
まずはピタリと箱に収まったヒレカツサンドの美しい切り口を愛で、そしてカツとパンの小気味良い歯ごたえにうっとりする。甘みがありつつくどさのないソースも美味。シンプルだからこそ際立つ、このそぎ落とされた完成度!
店のキャラクターとなっている「珍豚美人(ちんとんしゃん)」が描かれた包装紙も風情あり。贈ってよし、もらって嬉しい、色褪せぬ銀座の名作手みやげだ。