和菓子を愛するあの人へ
柔らか餅とたっぷりきな粉に癒やされる伝統銘菓
〈三井寺力餅本家〉の力餅
1869(明治2)年創業、滋賀は大津で5代にわたり作り続ける「三井寺力餅」。江戸時代初期の頃、名刹・三井寺と武蔵坊弁慶の怪力にちなんで作られたのがルーツとされ、以来、大津名物として親しまれる伝統の味だ。
「三井寺力餅本家」は昔から変わらず、すべての工程が手作り。毎朝5時から国産餅粉を店内の工房で蒸し上げ、丹念に搗いて一口大の小餅に丸め、3個ずつ串に刺して愛らしいお団子状に。注文を受けてから小餅の表面に特製の蜜をかけ、そして「これでもか!」というほどたっぷりときな粉をまぶす。色合いも美しいこの“青いきな粉”が力餅の特徴で、原材料は青大豆と抹茶と砂糖。甘さ控えめで香りがよく、後口には爽やかな苦味がほんのり広がる。
このきな粉にファンも多く、地元っ子は焼き餅にまぶしたりおはぎにしたりと、各自お好みで余ったきな粉の“再利用”を楽しんでいるとか。
さて、串をあんぐりと頬張れば、小餅の夢のような柔らかさときな粉のほのかな甘みが相まって、素朴でいてなんとも至福の食べ心地……!
添加物は一切使用せず、保存料も不使用。だから消費期限は2日。翌日には固くなるのも当然のこと。溢れんばかりのきな粉もそうだけれど、営業時間は朝7時から夜7時まで、定休日なしの年中無休。お客思いの心意気に頭がさがる。
地元っ子に愛されるのも納得。おいしさと心遣いに癒やされる、大津の伝統銘菓だ。