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鉱物コレクター・加藤水槽。値段や数は二の次、 工夫を凝らした見せ方で勝負

人はなぜ必要以上に集めるのか?人はなぜ役に立たない物も所有するのか?それは、無駄を集めると日常が少し楽しくなるから。物の数を誇る「日本一のコレクター」であることよりも、何をどう集めるかの視点こそが大切。ちょっと羨ましくなるような、現代のコレクターたちを紹介。

Edit: Kaz Yuzawa, Chisa Nishinoiri / Photo: Nagahide Takano / Text: Toyofumi Makino

BRUTUS

鉱物を集めるようになったきっかけは?

加藤水槽

小学生の時に買ってもらった孔雀石(くじゃくせき)が興味の始まり。

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鉱物のロマンとは?

加藤水槽

色や形が美しいビジュアルはもちろん、何千年、何万年という時間をかけて形成され、この先もずっと変わらず残り続ける普遍的なところが魅力。

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見せ方のこだわりは?

加藤水槽

自然の素材を自分なりにパッケージして鑑賞するという点では、本業のアクアリウムも鉱物も考え方はまったく同じ。黒檀(こくたん)の平板を敷いた3㎝角のアクリルケースに収めるフォーマットを設けることでコレクションの統一感が増し、ディスプレイ作業も楽しくなる。さらに、棚のライトアップも忘れない。“全体”を美しく見せるのがこだわり。

鉱物_ディスプレイ棚
古いタンスに手を加えたディスプレイ棚。ブラックライトで照らすと、鉱石が怪しく光りだす。左上は加藤さんが製作した水槽の一つ。

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唯我独尊なコレクションを作る、その秘密は?

加藤水槽

資金力や所有数では勝負しない。一般的な鉱物コレクターとは違う価値基準を持つことが大切。

ケースに入れるために砕いたり削ったり、ベストなポーズを保つためにホットボンドで接着したり、研磨を重ねて遊色を引き出す作業は日常茶飯事。そういった行為が鉱物界でタブーだったとしても恐れずに行う。

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掘り出し物は?

加藤水槽

東京国際ミネラルフェアで購入した石鉄隕石は薄く安価だったが、それゆえ光を通す透明感が美しい。

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至福の時間は?

加藤水槽

鉱物に興味のない友人に、いいねとほめられるのが最も嬉しい瞬間。時には欠片をプレゼントすることも。

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これからの目標は?

加藤水槽

今も新種の鉱物が発見されるのでゴールはなさそう。少しずつコレクションを増やしていく予定。

鉱物_化石_貝_人口結晶
並んでいる1軍は、各種鉱物をはじめ、化石や貝、人工結晶など幅広いラインナップ。中でも最下段の左から9個目にある石鉄隕石は、思い入れの深いお気に入り。気分によって保管しているものと入れ替えて楽しんでいる。